研究課題/領域番号 |
24531260
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小田部 夏子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (20406242)
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研究分担者 |
小町 祐子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (40433619)
畦上 恭彦 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (70337434)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発達性読み書き障害 / 視覚性記憶 / 視覚構成能力 / 図形記銘課題 / 未知文字視写 / 構成方略 |
研究実績の概要 |
発達性読み書き障害( developmental dyslexia 、以下DDとする)には書きそのものに難しさをもつ者も多いが、読みに比べ書きに関する研究は遅れている。日本語では漢字という書記素があるため視覚的要素が文字学習に関与していると考えられており、書きのつまずきの背景に視覚性記憶や視覚構成能力が示唆されている。DD児の視覚性記憶能力および視覚構成能力について検討した。 純粋に視覚性記憶能力を測るために図形記銘課題を作成し、典型発達児と読みに比し書きにより弱さを持つ2名のDD児に実施し、比較した。また、2名のDD児にはRey-Osterrieth の複雑図形検査(以下ROCFT)も実施した。図形記銘課題においてはDD児の成績は典型発達児の平均と顕著な差がなく、不良であるとは言えなかった。DD児のROCFTの直後再生成績も一般の小学生の平均範囲内であった。これらから、本研究の2名のDD児において視覚性記憶能力の問題はなく、それが漢字書字の困難さの原因ではないと考えられた。 図形をどこからどのように描くかという構成方略の典型発達はROCFTを通した研究で明らかとなっているが、文字を書くための構成方略の発達は不明なことが多い。文字における構成方略を検討するために、子どもたちにとって未知の文字であり、形態が日本語文字に似ている文字(中国語簡体字)、および似ていない文字(タイ文字、リンプー文字など)の視写課題を典型発達児とDD児に行った。その結果、典型発達児では日本語に形態が似ている未知文字は1年生から日本語文字の書き順に近い書き方で書く。日本語文字に形態が似ていない文字の場合でも、高学年になると日本語文字の書き順を適用するようになる。DD児では日本語の文字の書き順を適用することが高学年になっても難しい傾向があり、日本語の文字の書き順という既知の方略を使うことが難しいと考えられた。
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