研究課題/領域番号 |
24531270
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 誓子 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (70360261)
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研究分担者 |
佐藤 勝昌 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (00142331)
梶原 苗美 神戸女子大学, 健康福祉学部, 教授 (10131541)
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キーワード | 給食 / 病児 / 体調不良児 / 食物アレルギー児 / 食教育 |
研究概要 |
食事管理を必要とする,慢性疾患を有する子どもに対する,保育所・学校での給食実施の体制を改善することを目的とした研究を行った。 1.主に肢体不自由児が通学している特別支援学校における給食体制と,提供された給食の給与栄養量について検討した。 その結果,特別支援学校の給食対応は,個々の児童の嚥下状況に応じて行われ,家庭での食事環境を把握するために,保護者との情報共有の重要性が明らかとなった。また,嚥下の状態に合わせた調理形態を施すため,使用する食材の選択にも留意したり,種々の調理器具を活用したりして再調理食を提供していた。給食の給与栄養量の検討結果では,再調理食を調理するにあたり加水してミキサーにかけるなどするため,全体の栄養量は基本献立食に比べて低い値であることがわかった。 2.保育所における食物アレルギー児に対する給食提供に関して検討した。 その結果,食物アレルギー児の中でも,牛乳アレルギー児が摂取している給与栄養量は非食物アレルギー児,及び他の食物アレルギー児のこれに比べて低い値であることが明らかとなった。これは,代替食であるアレルギー対応献立の内容に原因があると考える。保育所給食において,牛乳・乳製品以外の原因食物は使用頻度と使用総重量が少なく,代替が適切に行われているが,牛乳の使用頻度と使用重量は非常に高く,これに対する適切な代替が行われていないことが明らかとなった。保育所給食における食事計画では,牛乳アレルギー児に対する栄養管理をも考慮した献立作成が重要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多くの食事管理を必要とする慢性疾患児へ給食提供している病院での給食対応との比較が不十分であるため。
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今後の研究の推進方策 |
1.当該年度の研究の結果,集団を対象とする給食であっても個別対応の重要性が明らかとなり,その対応内容は児童が家庭で摂取している食事環境に可能な限り近づける必要があることが伺えた。今後,管理栄養士・栄養士はどのような取り組みによって保護者との連携を行うことが有効であるかについて検討する予定である。 2.普通学校に通学している児童に比べて,給与栄養量の低下が懸念される特別支援学校に通学している児童に対し,どのような取り組みによってこれを改善できるのかについて検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画時よりも調査対象施設数が少なかったため。しかしながら,有効な結果が得られており,検討のための資料は入手できている。 多様な給食施設を調査することにより,より有効な成果を得ることが可能と考えており,この遂行のために使用する予定である。調査対象施設は主に,特別支援学校,及び慢性疾患児を受け入れている病院である。 また,これまでに得られた調査結果を基にして,食事管理を必要とする児童のための給食献立をサイクルメニューを想定して検討中である。給食を想定した調理を行い,栄養管理のみではなく,生産管理,品質管理の点からも保育所・学校給食に適したものであるかを検証する予定である。
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