研究課題/領域番号 |
24540001
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
朝倉 政典 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60322286)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 混合モチーフ / レギュレーター / 代数K理論 |
研究概要 |
平成24年度は、楕円曲面のK群のレギュレーターについて詳しく研究し、いくつかの著しい成果を得た。まず、従来より行っていた佐藤周友氏(中央大学教授)との共同研究において、代数K理論のリーマン・ロッホの定理を、もう一度見直す必要に迫られたため、それを行ったところ、すでに出版済みのGilletの論文中にいくつかの間違いが発見された。我々はそれを修正した。現在、その結果を使って、染川氏のサントミックレギュレーター写像の再構成を試みているが、これは近いうちに完成するだろうと考えている。また、すでに出版印刷中の佐藤氏との共著論文「Syntomic regulator and Beilinson's Tate cpnjecture fopr K_2」についても、それをさらに一般化した結果を研究中である。この結果も、近いうちに成果を出せるだろうと考えている。以上は、主にサントミック・レギュレーターに関する佐藤氏との共同研究であるが、当該年度においては、ベイリンソンのレギュレーター写像に関しても著しい進展をみた。複素数体上定義された楕円曲面のK群について、非斉次ド・ラム コホモロジーを応用することで、レギュレーター写像の具体的な計算結果を得ることができた。特に、ドリーニュ・ベイリンソン コホモロジーの不分解部分にK群からの元で消えないものを構成することができた。このような不分解元の構成例は、最小定義体が代数体であるような代数多様体については、ほんの数例しか知られていなかったが、今回の私の研究成果により、楕円曲面については数多く構成することが可能になった。その点が著しい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
複素数体上で定義された楕円曲面のK群について、ベイリンソンのレギュレーター写像を具体的に計算する方法を確立できた。当初の予想よりも早く成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
複素数体上定義された楕円曲面のK群について、ベイリンソンレギュレーターの具体的な計算方法を確立した。今後の研究では、モチーフのL関数の特殊値とレギュレーターの関係が大きな課題となる。モチーフのL関数は解析接続が確立されていないなど研究を推進する上で障害が多いが、たとえば、特別な場合にはヘッケのL関数に一致する。この場合に限ってでも成果を得られれば大きな突破口となるだろうと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|