研究課題/領域番号 |
24540010
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
内藤 聡 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60252160)
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キーワード | 結晶基底 / extremal ウエイト加群 / semi-infinite Bruhat 順序 / Lakshmibai-Seshadri パス / 量子 Bruhat グラフ / Demazure 加群 |
研究概要 |
(untwisted な) アフィン・リー環に付随する量子群 (アフィン量子群) のレベル・ゼロウエイトを extremal ウエイトとする extremal ウエイト加群の結晶基底を、アフィン・ワイル群上の (通常の Bruhat 順序とは異なる) semi-infinite Bruhat 順序を用いて定義される semi-infinite Lakshmibai-Seshadri パスによって、具体的に実現した。 この extremal ウエイト加群は universal な標準加群とも呼ばれ、その (null root を modulo とする) 商加群として、アフィン量子群の標準加群が得られる。 さらに、上記の extremal ウエイト加群の Demazure 型の部分加群 (それは、アフィン・ワイル群の元でパラメトライズされる) の結晶基底を、semi-infinite Lakshmibai-Seshadri パスであって、その initial direction (一番最初の方向ベクトル) が、Demazure 加群をパラメトライズするアフィン・ワイル群の元で (semi-infinite Bruhat 順序に関して) 上から抑えられるものによって実現される事を証明した。 この Demazure 加群の (null root を modulo とする) 商加群のウエイトの (エネルギー関数による重み付きの) 母関数が (非対称) Macdonald 多項式の "t=0" での特殊化となるものと予想されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前から懸案となっていた、一般のレベル・ゼロウエイトを extremal ウエイトとする extremal ウエイト加群の結晶基底の実現を与えるという問題が、アフィン・ワイル群上の semi-infinite Bruhat 順序を使った semi-infinite Lakshmibai-Seshadri パスによって解決されたのは、本研究の目的達成への重要な進展であると考えられる。 さらに、この extremal ウエイト加群の自然なフィルトレーションを与える Demazure 型部分加群についても、その結晶基底の実現を与える事が出来た。 これらの結果が得られた事によって、本研究の目的達成の為の表現論的・組合せ論的な準備の部分は、ほぼ終了したと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの 2 年間で得られた結果によって、本研究の目的達成の為の表現論的・組合せ論的な準備は、ほぼ終了したと思われる。 これからは、semi-infinite 旗多様体の中の "quasi-maps" の空間の Schubert stratification を用いて、semi-infinite Lakshmibai-Seshadri パスの対応物を、 (semi-infinite 旗多様体の中のある種の有限次元代数多様体として) 幾何学的に構成したいと考えている。
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