研究課題/領域番号 |
24540012
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋山 茂樹 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60212445)
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研究分担者 |
小松 和志 高知大学, 自然科学系, 准教授 (00253336)
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キーワード | 自己誘導構造 / 置換規則 / Pisot数 / シフト基数系 |
研究概要 |
一次元置換規則力学系の Pisot substitution 予想とは、既約 Pisot 置換規則の生成するシフト作用の力学系が純離散スペクトルを示すというものである。この予想および、その一般化をさまざまなな角度から考察している。J.Y.Lee との共同で、overlap coincidence が strong coincidence を導くことを証明し、さらに共同開発したプログラムによりトレースが2以下の Pisot unit subsitution をすべて計算して予想が成立することを確かめた。Strong Coincidence は制御点の取り方に依存するが、十分にたくさんの制御点で Strong Coincidence が成り立つならば純離散スペクトルを示すことも証明できた。 代数的数が高さ簡約可能 (HRP) とは、その代数的数と有理整数環の生成する環のすべての元が、ある定数以下の整数係数多項式の根として表せることとする。この性質は、前出の coincidence と深く関係することが知られている。T.Zaimi, J.Thuswaldner との共同で、HRP を詳しくしらべ特にその成立のための必要十分条件を与えた。 シフト基数系の研究で現れた多項係数からできる数列の平均可除性を研究し、成立のための必要十分条件を与えた。この研究は数論的にみえるが、数列の統計的平均的な挙動をしらべるという意味で興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Overlap coincidence と Strong coincidence の関係を必要十分条件の形に一般化できた。HRP の研究では十分条件が得られていただけであったが、必要十分条件に改善することができた。さらにシフト基数系の関係では平均可除性という新しい数論的現象を見つけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Pisot substitution 予想に関して、M.Barge は最近ベータシフトに対応する場合に著しい結果を証明した。数論的な角度から更なる一般の置換規則についての結果を導きたい。 点集合の概周期性は概周期関数論と深く結びついている。とくに、Meyer 集合でないPatterson 集合についてしらべ、作用素のスペクトル、回折のスペクトル、概周期関数のスペクトルの関係を具体化したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
筑波大学では支払いベースで計上とされ、年度末の旅費が未払いであったため。 未払いであった旅費は、平成26年4月に支払われ、特に問題はない。
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