研究実績の概要 |
本研究の研究目的は、アフィン超リー代数の表現論、特にある一般化されたヴァーマ型群の構造の解明である。通常のリー代数上のヴァーマ加群の場合、その構造はワイル群を用いて記述されることはよく知られている。従って超リー代数上の一般化されたヴァーマ加群の構造に関しても、ワイル群をワイル亜群に置き換えることで、その構造を記述できることが期待される。本年度は、昨年度までに得られていたsl(2,1)型アフィン超リー代数上の一般化されたヴァーマ加群の構造をワイル亜群を用いて記述することを目指し、ワイル亜群に関しての研究を行った。 具体的には、(1)数式処理ソフトを用いてワイル亜群を計算するためのプログラムを作成し、それを用いていくつかの単純超リー代数に付随するワイル亜群に関するデータを収集した。(2)得られたデータを元に、古典型の単純超リー代数に付随するワイル亜群の場合に、2011年のSergeev-Veselovの論文でより導入されたワイル亜群と2008年のHeckenberger-Yamaneの論文で導入されたコクセター亜群との関係を明らかにした。さらにこの関係の帰結として、Sergeev-Veselovのワイル亜群の生成元とその基本関係式を得た。 例外型の単純超リー代数に付随するワイル亜群の構造や、当初の目標であったsl(2,1)型アフィン超リー代数上のヴァーマ加群の構造とワイル亜群の関係に関しては、今後さらに研究を進める予定である。なお、上記の研究成果の一部は、福井大学工学研究科大学院生の三宅琢斗氏との共同研究として得られた。
|