研究課題/領域番号 |
24540020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 裕史 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40192794)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 岩堀ヘッケ代数 / アフィンリー代数 / カルタン行列 |
研究概要 |
対称群のモジュラー表現論を非線型微分方程式に応用することを念頭に置いて研究を行った.対称群の群環の変形である岩堀ヘッケ代数においてパラメータが1の冪根である場合にそのカルタン行列の行列式が重要な量となる.ヤング図形の組合せ論を通して,その行列式の具体的な表示を求めることを当面の問題とし,少しく満足できる形で,その庄司式を得ることができた.さらにその式の「次数付き版」を考えることにより,いわゆるコヴァノフ・ラウダ代数(次数付き岩堀ヘッケ代数)のカルタン行列式の公式を得た.これらのカルタン行列は一方に於いてアフィン型カッツ・ムーディ・リー代数のシャポヴァロフ形式のグラム行列に他ならないことが証明されている.この事実を通してアフィンリー代数の表現論での結果も得たことになる.そこを切り口にして,今後はより一層,非線型微分方程式の解析をおこなっていきたい. なお繰越金が生じたが,これは出張の取り止め等によるものである.次年度に有効に使用する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標にそった形で,今のところは順調に進展していると感じる.これは幸運なことであるが,一方では「研究の目的」の設定が低すぎたのかもしれない.「やや遅れている」と感じるぐらいの方が望ましいのだろう.ともあれ,順調であることに安心しないで,切磋琢磨を続けて,より高みを目指したい.
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今後の研究の推進方策 |
カルタン行列の行列式は満足できる形で解決したが,さらに単因子まで記述できたらいいと考える.実験を通して一般論を探りたい.「次数付き」のバージョンは単因子そのものが,非常に複雑で手に負えるようには思えない.当面,「非次数付き(古典的)」の場合に限って,より深く理解したいと思う.組合せ論的な考察がよいであろう.表現論における組合せ論の有効性を示していきたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の「同じような問題意識を持つ研究者」との打合せ,議論等のための旅費が必要である.またもちろん研究成果発表のための旅費も計上する.繰越金は研究打合せ旅費に上乗せする.新年度になってから開催の詳細がわかった国際研究集会もあるので,それに出席するための旅費等に用いたい.
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