研究課題/領域番号 |
24540020
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 裕史 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40192794)
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キーワード | 対称群 / ヤング図形 / シューア函数 / Q函数 |
研究概要 |
ヘッケ環の表現論と結晶基底を結びつけたLascouxたちの,いわゆるLLTについて,その最後に載っている数表をもとに実験的な計算をして面白い現象に気が付いたのは,もう数年前のことである.組合せ論的な議論だけでも十分出版の価値があると考え,大学院生の安東雅訓,同僚の鈴木武史と論文を準備したが,それがようやく出版された.少し詳しく述べれば,アフィンリー環のシャポヴァロフ形式の行列式を組合せ論的に表示することに成功したことになる.この行列は岩堀・ヘッケ環のカルタン行列に対応しており,行列式はその重要な不変量である.さらにはその行列の単因子に関して気が付いた現象(論文には「予想」と書いた)がある.その本質的な意味については現在の最重要課題である. またアフィンリー環のことばでは,我々の話はA(1)型ということになるが,A(2)型やD(2)型でも同様の議論が可能であることがだんだん分かって来ている.「次数付き表現論」の一つの例として非常に重要なものを扱っているという認識であり,今後もしばらく集中していきたい. またこれとは別に,A(2)型アフィンリー環の基本表現のウエイトベクトルに関して興味深い結果を得た.長方形のヤング図形に対するシューア函数と台形のヤング図形に対するQ函数の関係で,結果自体は組合せ論であるが,それに対する表現論的な証明,解釈を与えたことになる.論文を準備,投稿したところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を書いた時点で既に問題点がはっきりしており,証明に集中することができた. 論文が一編出版されたがさらなる話題も論文に書ける程度まで進展しており,「順調」と言えると思う.
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今後の研究の推進方策 |
A(2)型の議論を明瞭に理解すること.対称群のスピン表現論は現在でも未開拓な部分は多い.そこをきちんと整理して,その後,我々の基本的なアイデアが正しいことを証明したい.どうしても数値実験に頼りがちであるが,すこし実験を離れて「考える」必要性を感じている. まず対称群のスピン表現論に関しての第一人者であるドイツのベッセンロト教授と連絡を取らねばならない.彼女を日本に招聘し,またこちらからハノーバーに出かける必要も生じよう.このような旅費を計上することが第一義である.
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次年度の研究費の使用計画 |
主に出張(国内,国外)のための費用を計上していたが,本務が多忙で,なかなか時間的な余裕がなく,出張しての研究打合せの時間が取れなかった.次年度使用額が生じた理由はこれである. 計画性をもって研究打合せの出張を予定している. まず対称群のスピン表現論に関しての第一人者であるドイツのベッセンロト教授と連絡を取らねばならない.彼女を日本に招聘し,またこちらからハノーバーに出かける必要も生じよう.今年度はこのような旅費を計上する.
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