研究課題/領域番号 |
24540022
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
平野 幹 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80314946)
|
キーワード | フーリエ・ヤコビ型球関数 / フーリエ・ヤコビ展開 / 保型L-関数 / ジーゲル保型形式 |
研究概要 |
今年度は、次数2のジーゲル保型形式に対するフーリエ・ヤコビ展開と関連する特殊関数である、次数3の複素一般線形群GL(3,C)のクラス1でない主系列表現に対するホイッタカー関数の保型形式論への応用について研究を行い、特に保型L-関数に関連したゼータ積分について昨年度までの結果を前に進め、必ずしも理想的でない一部の場合について明示的評価を得た。 フーリエ・ヤコビ展開に必要な特殊関数であるフーリエ・ヤコビ型球関数の理論については依然として未完であるが、これまでに様々な一般球関数についての類似研究を進め、一定の成果を上げてきた。今年度の成果はこれまでに得られた類似研究の成果の応用であり、フーリエ・ヤコビ型球関数の理論とも関連が深く意義がある。今年度はホイッタカー関数の明示公式、およびこの明示公式を活用したGL(3)×GL(1)およびGL(3)×GL(2)に対するアルキメディアンゼータ積分についての昨年度までの成果および知見に基づいて、GL(3)×GL(2)に対するアルキメディアンゼータ積分の明示評価が困難であった理想的でない一部の場合について明示的評価を得た。得られた成果はゼータ積分が消えないような適当なベクトルがGL(3)およびGL(2)の主系列表現の極小K-typeから取れない場合の複素素点におけるゼータ積分の評価である。すべての場合について明示的評価が成功しているわけでなく、最も困難を極める場合の考察を残しているが、対応する表現論についての予備的考察を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に挙げたフーリエ・ヤコビ型球関数についての直接の成果ではないが、類似の特殊関数であるホイッタカー関数とその応用について、部分的ではあるが一定の成果が得られたことにより、研究は順調に進展していると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
今後もフーリエ・ヤコビ型球関数とその応用について、直接的もしくは間接的に考察を進め、新たな知見を獲得しつつ問題の困難さを徐々に克服していくのが正しい方針であると信じる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度は研究の過程で判明したアルキメディアンゼータ積分の明示的評価の困難さに対する予備的考察を中心に研究を進めたため、成果発表や専門家との意見交換に関する研究活動が予定よりも減じたため。 今年度に行った予備的考察によって得られた知見の蓄積を活用してアルキメディアンゼータ積分の明示的評価の困難さを克服できる見通しであるため、これまでに計画していた成果発表や専門家との意見交換に関する研究活動を次年度に繰り越して実施する計画である。
|