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2012 年度 実施状況報告書

代数解析的手法による代数群の表現論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24540026
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪市立大学

研究代表者

谷崎 俊之  大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70142916)

研究分担者 兼田 正治  大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60204575)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際研究者交流(アメリカ)
研究概要

今年度はベキ根における量子群の非制限型表現を中心に研究を行った.ベキ根の位数が奇数の場合と偶数の場合では表現の様相がかなり異なる.表現論の研究者がこれまで主として奇数位数の場合の研究を行ってきたのは,偶数位数の場合は標数2の代数群の表現論との関係しており,例外的な場合とみなしていたせいもある.しかし数理物理や結び目理論との関係では,むしろ偶数位数の場合のほうが重要となる場合も多い.そこで,偶数位数の場合も視野に入れて,総合的に表現論の研究を行った.まず第1歩として,量子群の中心の研究を行った.奇数位数の場合は,De Concini-Procesiにより中心の構造はよくわかっているが,偶数位数の場合には対応する結果は知られていなかった.本年度の研究により,偶数位数の場合も類似の結果が成りたつ事がわかった.ただし,偶数位数の場合にはFrobenius写像の定義がより複雑になるのに対応して,Frobenius中心の構造も複雑になる.奇数乗根の場合のFrobenius中心へのある有限群の作用に関する固定部分代数が,偶数乗根の場合のFrobenius中心と一致するというのが鍵となる観察であり,これを用いることにより中心全体の構造が解明された.次に,表現の幾何学的構成についての研究を行った.奇数位数の場合には,正標数の代数群に対するBezrukavnikov-Mirkovic-Ryumininの結果の類似を与える研究代表者の結果があるが,これを偶数乗根まで拡張するのがひとつの目標である.いろいろな困難があることがわかったが,いちばん簡単なA1型の場合に具体的計算を実行して,同様の結果が成りたつ事を確認することができた.それ以外に,アフィン・ヘッケ環の幾何学的表現論やアフィンSpringer束に関する研究も行ったが,具体的結果は得られなかった.これらは今後の課題である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的で掲げた4つの課題「(1)ベキ根における量子群の非制限型表現の研究」「(2)量子群に対する幾何ラングランズ対応の構成」「(3)アフィン・ヘッケ代数の幾何学的表現論の研究」「(4)アフィンSpringer 束の幾何構造の研究」のうち,(1)に関しては具体的成果が得られ,予定以上に研究が進展した.特に,ベキ根の位数が偶数の場合にも奇数位数の場合と同様のアプローチが可能であることが明らかになったことは大きな前進であると思う.また,これを実質化して量子群の表現論の総合的理解を得るべく研究を継続して新たな知見も得られており,十分な成果が得られたものと考える.それ以外の(2), (3),(4)に関しても研究を行った.具体的成果が得られるところまでの進展は得られなかったが,それぞれの問題に関して,実例の計算を実行して理解の進展があった.特に(3)に関しては,Bezrukavnikovによる関連する結果を精査することにより,糸口が掴めたものと考える.

今後の研究の推進方策

研究目的で掲げた4つの課題「(1)ベキ根における量子群の非制限型表現の研究」「(2)量子群に対する幾何ラングランズ対応の構成」「(3)アフィン・ヘッケ代数の幾何学的表現論の研究」「(4)アフィンSpringer 束の幾何構造の研究」のうち,(1)に関しては既に順調に研究が進行中であり,今後もこれを中心に据えて研究を継続していく予定である.具体的には,小量子群の中心の研究,ベキ根の位数が奇数の場合の表現の幾何学的構成の完成とその表現論への応用,偶数位数の場合のその類似の研究,偶数位数の場合の表現論の数理物理や結び目理論への応用などを視野に入れている.特に,最近Constantino,Geerらにより半単純でない表現を用いて3次元多様体の不変量を構成する試みがなされているが,これを一般の非制限型表現の枠組みで理解することは,新たな不変量の構成に結びつく重要な問題と思われるので考えていきたいと思っている.また(1)以外の課題に関しても,研究を継続していく予定である.(2), (3)に関しては,新しいアイデアが必要であり,そのためには実例の計算の積み重ねが重要であると思われるので,この方向で粘り強く継続していきたい.(4)に関しては,さまざまな観点からの研究が多くの研究者により進行中であり,それらを取り入れながら研究方向を定める事が重要であると思う.

次年度の研究費の使用計画

本年度は研究代表者自身が海外で研究する機会がなかった事と,デスクトップ型のパーソナルコンピュータの購入が必要なかった事もあって,研究費を全額使用することはしなかった.次年度は海外で開かれる国際研究会への参加等も積極的に行い.海外での研究活動をより活発に行う予定である.また,関連研究者の海外派遣や国内での研究会への補助もできる範囲で行う予定である.それ以外にも,関連する最近の文献を収集するための図書や,パーソナルコンピュータおよびその周辺機器の購入を計画している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] D-modules and representation theory2012

    • 著者名/発表者名
      T. Tanisaki
    • 雑誌名

      Surveys of Modern Mathematics

      巻: 2 ページ: 177--219

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential operators on quantized flag manifolds at roots of unity2012

    • 著者名/発表者名
      T. Tanisaki
    • 雑誌名

      Advances in Mathematics

      巻: 230 ページ: 2235-2294

    • DOI

      10.1016/j.aim.2012.04.018

    • 査読あり
  • [学会発表] べき根における量子群の中心2012

    • 著者名/発表者名
      谷崎俊之
    • 学会等名
      北見代数群セミナー
    • 発表場所
      北見工業大学
    • 年月日
      20120827-20120827
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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