研究概要 |
本研究では,研究代表者が定義した「標準 Whittaker (g,K)-加群」の構造を解析し,その組成列を決定することを主な目標としている. 無限小指標が generic な場合と,無限小指標が integral で群が SL(2,R), U(n,1) の場合については,申請時までに構造が完全に解明されていた.その続きとして,平成24年度は,無限小指標が integral で群が Spin(n,1) のときに,U(n,1) の場合と同様の手法を用いて,標準 Whittaker (g,K)-加群の構造を完全に決定した.この成果については,現在投稿中である. この Spin(n,1) の場合では,K-type の shift 作用素によって,ある表現に含まれるベクトルが消滅するか否かで,標準 Whittaker (g,K)-加群の組成列を調べている.この計算に使う道具として,U(n,1) のときと同様に,不変包絡環の中心元を用いた.その際,本研究に使うという目的にあった中心元を構成する必要があったため,本研究の副産物として,交代行列実現による直交リー環の不変包絡環の中心元の新たな構成方法が得られた. 実階数が高い群の標準 Whittaker (g,K)-加群の構造解析も始めたが,困難が多いため,比較的扱いやすい主系列表現の構造解析を始めることにし,群が Sp(2,R) の場合に,主系列表現の socle filtration を決定する問題に着手した.
|