研究実績の概要 |
$p$ 進体上の不分岐ユニタリ・エルミート行列の空間についての研究を引き続き行い,剰余体標数が偶数の場合も込めて,行列のサイズが偶数・奇数を通して統一的に把握することを研究した.
逆対角線上に$1$ が $m$ 個ならぶ行列を固定するユニタリ群 $G$ をとり,これを $k$ 上定義されたユニタリ群の$k$-有理点集合とみなしておく.$G$ 内のエルミート行列で,代数的閉体上で単位行列を含む軌道の有理点集合を $X$とする.$K$ を $G$ の整点からなる極大コンパクト部分群とする.$G$ が作用する空間 $X$ をヘッケ環 $H(G,K)$ の作用を通して解析したい.そのとき$X$ から複素数体へのヘッケ環同時固有関数である球関数の考察が大事で,これを具体的に求めることは基本的かつ重要な問題である.$m$ が偶数の場合には,基礎体が一般のdyadic の場合にも完結した.$m$ が奇数のときには,空間の複雑さのために$2$-adic の場合を考察した.
この年度は,所属機関からは特別研究期間を得られたので,前半は主にドイツ・マンハイム大学に滞在し,そこを拠点として,フランスのグルノーブルやリオン,またドイツでは,ハイデルベルグ,ザールブリュッケンやアーヘンを訪問し,現地の研究者と直接に議論する機会を得て有意義であった.一方,後半は,京都大学数理解析研究所に長期研究員として滞在し,京都周辺および数理研を訪れた研究者の方々と直接に議論もでき研究が進んだ.
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