研究課題/領域番号 |
24540033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
花村 昌樹 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60189587)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | モティーフ / Chow群 / 代数的サイクル / コホモロジー / 三角圏 |
研究概要 |
1. Bloch-Kriz は混合Tateモティーフのなすアーベル圏MT(k)を定義し,エタール・コホモロジー実現関手を構成した.Bをサイクル複体のバー構成とするとき,MT(k)はH0(B)のcomoduleの圏である.独立の仕事として申請者花村は混合モティーフの三角圏D(k)を構成し,さらにその圏からエタール・コホモロジー実現関手およびBetti実現関手を構成した.D(k)の部分三角圏でTate対象Z(n)により生成されるものをDT(k)とする.さらにDT(k)'をコホモロジー次数が0の対象のなす部分圏とする. DT(k)' からMT(k)への比較関手が存在することが花村により知られていた.それをさらに次のように三角圏のレベルに拡張することができることを示した.まず,MT(k)を自然にふくむ三角圏 B-comodが存在する. DT(k)からB-comodへの三角圏の比較関手を構成した. 2. MT(k)の対象つまり混合Tateモティーフに対し,そのHodge実現を構成した. この構成は混合モティーフのBettiコホモロジー実現の構成にならっているが,対応するHodge複体についてはHom複体にあたるものが普遍拡大を与えないため,さらにホモロジー代数的な工夫が必要であった. 3. 混合Tateモティーフの周期の計算を行う手続きを研究した.(1)その過程においてsemi-algebraic set上のlog poleをもつ積分の収束, Cauchy formulaを一般に考察した.(2) 代数的サイクルから、混合Hodge複体を構成する手続き考察した.(これらは木村氏,寺杣氏と共同である.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 圏の比較をアーベル圏のレベルから三角圏のレベルに拡張したことにより,DGAのbar複体のcomoduleの三角圏を研究するという問題意識が新たに生まれた. 2. log 積分を考える枠組みが明確になり、積分の収束条件が厳密に示された。
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今後の研究の推進方策 |
さらに混合Tateモテイーフの周期の計算を正当化する方法を研究する. 混合モティーフ層の圏 D(S)の上のコホモロジー実現関手を構成する. D(S)の底多様体についての変換関手の構成と性質の解明. 位相幾何におけるホモロジー,コホモロジーと同様に,motivic理論において以下を確立する.(1)Kunneth同型,(2) カップ積,キャップ積の構成とPoincare-Alexander双対性の確立 (3) ベクトル束の(モティヴィック・コホモロジーに値をもつ)Chern類の構成.
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」は、当初計画していた研究集会の開催を次年度に延期することにより生じたものであり,延期した研究集会に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である.
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