研究概要 |
25年度はMilano大学のBert van Geemen教授との共同研究により、接空間への作用がtype(2,2)となるorder 3の自己同型を持つ4次元Abel多様体のモジュライを調べた。order 3の自己同型のsymplectic表現をMとすると、考えているAbel多様体の周期行列は4次Siegel上半空間のMによる固定点として特徴付けられる。この様な点の集合H(M)は4次元I型有界領域となり、例外的な同型によりIV型領域としても実現されるので、K3型のweight2のHodge構造の周期領域と見なすことも出来る。symplectic群におけるMの中心化群C(M)はEisenstein整数環上の離散ユニタリ群の構造を持ちlevel2の合同部分群C(M,2)による商群はorder 25920の有限単純群であり,Weyl群W(E6)の指数2の部分群と同型になる。実際modular多様体H(M)/C(M,2)にはW(E6)が作用する。 このmodular多様体をテータ関数により5次元射影空間に埋め込み、W(E6)-不変な10次超曲面として実現した。W(E6)を生成するreflectionのmirrorが36個存在するが、このmirrorによる切断としてIgusa quarticのHessian超曲面が得られる。この3次元多様体はB. Huntによってmodular多様体であることが予想されていたが、肯定的な結果を得たことになる。 研究成果は共著論文『A PICARD MODULAR FOURFOLD AND THE WEYL GROUP W(E6)』としてまとまられ、現在雑誌に投稿準備中である。研究代表者は『第7回玉原特殊多様体研究集会』において、研究成果を発表した。
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