研究課題/領域番号 |
24540043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
福間 慶明 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (20301319)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 代数学 / 偏極多様体 / 豊富な因子 / 随伴束 / 断面不変量 / 準偏極多様体 / nefかつbigな因子 |
研究概要 |
Xを複素数体上定義されたn次元非特異射影多様体, LをX上の豊富(nefかつbig)な因子とする. この時これらの組(X,L)を偏極(準偏極)多様体と呼ぶ. 本研究の主目的は随伴束K+Lがnef (もしくは随伴束の飯高次元が非負)となる任意の偏極多様体に対して随伴束のm階テンソルm(K+L)の大域切断のなす次元が正となるmの値の最小値 (随伴束がnefのときはこの値をm(n)とおき、随伴束の飯高次元が非負のときはこの値をp(n)とおく) を調べることである (ただしKはXの標準因子). 具体的には以下のことについて調べることを目標にあげた. (課題1) 4次元の場合に、m(4)の値を決定する. (課題2) 一般次元の場合に今まで知られているm(n)の値の上限を改良する. (課題3) 4次元の場合にp(4)の上限, もしくはp(4)の値を求める. (課題1)の本年度の研究計画として、随伴束の飯高次元が3の場合にm(K+L)の大域切断のなす次元が正となるmの値の最小値を調べることをあげた. mは2以下になることが知られているのでmが1となるかを調べることが重要となる. その際に4次元偏極多様体の不変量に関する性質が必要となるため, いろいろな性質を調べているがまだ証明はできていない. (課題2)についてはn次元準偏極多様体に対してm(n)の上限を求めることに成功した. 特に, m(n)はn+2の2乗を8で割ったものの切り上げで上から抑えられることを示した. この結果は今まで知られていた荒川氏の上限の値を改良したものとなっている. さらに荒川氏が偏極多様体を扱っているのに対し、今回の研究成果はより一般に準偏極多様体の場合に証明している点がセールスポイントでもある.(課題3)については, 本年度での研究成果はなかった. また偏極多様体の断面不変量による分類についてもいくつか成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究成果を見ると, (課題1)についてはまだ結果は得られていないが, 4次元偏極多様体の第2断面幾何種数の研究を少しずつ行うことができているので, おおむね進展していると思われる. (課題2)については平成24年度の目標が達成できたと考えられるので進展が見られたと考えてよい. また(課題3)については問題自体がとても難しく進展していない. 基礎となる理論を構築することが大切であり、今後も着実に基礎理論の構築を進めることにしたい.
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今後の研究の推進方策 |
(課題1)について: 平成24年度に研究していた随伴束の飯高次元が3の場合にm(K+L)の大域切断のなす次元が正となるmの値の最小値が1となることを調べる. その際に必要となる4次元偏極多様体の第2断面幾何種数の性質についてさらに詳しく調べる. (課題2)について: 平成24年度に得た結果をさらに改良することを目標とする. 方法自体は平成24年度に用いた方法と同様のものとする. (課題3)について: スケール付極小モデル理論を(準)偏極多様体に対して適用し, (準)偏極多様体の随伴束に関する新しい基礎理論の構築について考察する. またスケール付極小モデル理論に関連して, これを用いて準偏極多様体の断面不変量による分類なども考えてみる.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度から5万円程度繰り越した。これは当初の計画よりも出張が少なかったためである。これについては次年度の出張に使用することにする。 次年度のおおよその使用予定は以下のものである。 代数幾何関係の図書が年々多く出ているのでその購入のため14万円ほどを使用する。研究成果発表の旅費として10万円, 調査研究旅費として25万円を使用する。またプリンターのトナーなどの消耗品として6万円を使用することを計画している。
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