研究課題/領域番号 |
24540057
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
米田 二良 神奈川工科大学, 基礎・教養教育センター, 教授 (90162065)
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キーワード | 代数曲線 / 二重被覆 / ワイエルシュトラス半群 / 数値半群 / K3曲面 / 平面4次曲線 / 平面5次曲線 |
研究概要 |
1.研究協力者と平面代数曲線の二重被覆が射影曲面の二重被覆である double sextic(特異点を許す) に拡張できる場合について、その分岐点のワイエルシュトラス半群についての結果が出たので現在投稿中である。この研究は、K3曲面上の代数曲線のワイエルシュトラス半群を調べるのに役に立つ。 2.海外共同研究者との共著の論文"Weierstrass semigroups on double coverings of genus 4 curve" が、J. Alg. に投稿中であったが、3月に出版された。種数 5 の二重被覆になると状況が一変するので、この結果は重要と考えている。9月に海外共同研究者の元を訪れ、1.の結果の拡張を得ている。これはdouble sextic K3曲面上の代数曲線のワイエルシュトラス半群で得られるかどうかの判定法に役に立つ。また、このときに平面5次曲線の二重被覆についてのワイエルシュトラス半群についての結果をまとめ、共著として現在投稿中である。また、平面6次曲線についても結果を得た。3月にも海外共同研究者を訪問し、平面d次曲線の二重被覆についての考え方について方向性を確認した。 3.別の研究協力者と「4次平面代数曲線の種数8以下の二重被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群」の共同研究を実施し、種数8の論文は Semigroup Forum に受理され、web 上で出版された。また、種数7の場合も現在、投稿中である。種数6については現在、証明の確認中である。連携研究者、研究協力者との共同研究「種数2の種数5以下の二重被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群」についても現在投稿中である。これによって種数 2 の二重被覆のワイエルシュトラス半群の問題は完全に解決されたことになる。 4.数値半群の導手が大きい場合の数値半群の中での濃度が 0 であることが証明でき、RIMS の集会で発表し、現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代数曲線の二重被覆上の分岐点のワイエルシュトラス半群については、代数曲線の種数が2以下の場合は、完全に解決された。種数3の場合も、二重被覆の種数が6の場合のみ残っているが証明の確認中である。また種数が4の場合は二重被覆の種数が12以上の場合が解決された。また、種数5以上の場合はこのようなことが起こらないという結果が一昨年度出版された。よってかなり順調に進んでいると思う。ただ、三重被覆については、どのように問題設定をするかの段階であるので、これからである。また、二重被覆の結果をフルビッツの問題の解決に応用する件については、対称数値半群が重要な役割が果たすことがわかったのでこれから研究を進めていくことができると考えている。 K3曲面上の代数曲線については double sextic K3 上について結果を得ており、特にワイエルシュトラス半群として得られるかどうかの一つの必要条件が求められた。今後、これがある場合に十分条件であるかを調べるきっかけになると考える。トーリック曲面上の代数曲線については射影直線の巡回被覆になる場合に研究協力者と研究を進めている。これを元にして近いうち結果が得られると思う。 ある条件を満たす数値半群の数値半群全体の中での濃度を調べることはフルビッツの問題と関係があり、導手が大きい場合に結果を得ている。今後、他の場合にもこの手法が適用できそうである。 種数1を下げる数値半群を考えることと二重被覆ならびに対称数値半群を結びつけることがフルビッツの問題の解決に重要であることがわかってきた。今後、この方法を発展させることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
対称数値半群が二重被覆のワイエルシュトラス半群になるための条件がフルビッツの問題を解決するためのキーである。よってこの条件を数値半群の種数を1下げる方法と絡めてて求め、論文の投稿の形までもっていきたい。また、海外共同研究者と共同研究で、平面代数曲線の二重被覆の total flex 上の分岐点のワイエルシュトラス半群の決定をしたい。さらに代数曲線上の3次巡回被覆の分岐点のワイエルシュトラス半群の決定のための一般論を構築する。 平面d次代数曲線の二重被覆が接触度がd-1の点で分岐する場合に、いつ射影平面の二重被覆であるK3曲面に拡張できるかという問題を研究協力者と共同研究で解決したい。また、トーリック曲面上の代数曲線が射影直線の素数次巡回被覆の場合の分岐点のワイエルシュトラス半群の特徴づけを研究協力者と共同研究でしたい。 ワイエルシュトラス半群でない数値半群の数値半群全体の中での濃度を考えたい。これに関連して導手が大きい場合の数値半群の濃度が0であることが証明できたのでこの結果を投稿する。また、種数を1下げる列が無限に続く場合や列が途切れてしまった場合の数値半群の全体の中での濃度を調べる。二重被覆が平面代数曲線である場合、分岐点がガロア点であるとき、または分岐点の像が弱ワイエルシュトラスガロア点のときの特徴づけが研究協力者との共同研究で得られたので論文としてまとめ、投稿する。また、これを一般化した問題を考える。たとえば、上記が n 重被覆の場合、または二重被覆が2個で生成されるワイエルシュトラス半群を持つ場合のときを考える。 連携研究者とワイエルシュトラス半群が強い意味での二重被覆の分岐点から得られるための必要十分条件を共同研究で考えていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
12月に開催した第11回代数曲線論シンポジウムで招待講演をお願いしたブラジル人の研究者が、12月にオーストリアに研究集会で滞在していて、往復の航空運賃がブラジルから日本でなく、オーストリアから日本になったために安くなった。その金額が181,859円である。この金額は、今年度9月にブラジルに共同研究のため訪問するので、その航空運賃の一部に充てる予定でいる。 すべての研究協力者を神奈川工科大学に2回程度招待し、共同研究をする。その旅費が必要な場合は科研費から支出する。9月にブラジルを訪問し、ワイエルシュトラス半群についての講演をすると同時にブラジル人研究者と共同研究を実施する。その旅費に充てる。また、連携研究者の大学を訪問し、代数曲面上の代数曲線のワイエルシュトラス半群について共同研究を実施する。その旅費として使用する。11月に海外共同研究者の韓国を訪問し、平面代数曲線の二重被覆について共同研究をする。その旅費に使用する。12月に第12回代数曲線論シンポジウムを連携研究者と共に主催する。その講演者の旅費、報告集の出版費用に充てる。2月に数理解析研究所で開催される半群関係のシンポジウムである数値半群の数値半群全体の中での濃度についての講演をする。その旅費として使用する。3月に海外共同研究者の韓国を訪問し、共同研究を実施する。その旅費に使用する。
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