研究概要 |
1. 前年度に得た3次元ハイゼンベルグ群内の極小曲面に対する「ループ群論的構成法」を用いて回転対称性をもつ極小曲面を構成した(Josef Dorfmeister氏, 小林真平氏との共同研究)。 2. リーマン面で定義され, 両側不変計量を備えたコンパクト半単純リー群に値をもつ調和写像は, UhlenbeckとSegalによるループ群を用いた詳細な理論が構築されている。像空間をアフィン接続を備えた多様体に拡げても調和写像の微分方程式は意味をもつ。この観察と実績1の研究成果に立脚し, リーマン面から不変アフィン接続を備えた(一般の)リー群への調和写像に対し, ループ群論的構成法を一般化することを考察した。その結果, リー群に中立接続とよばれる両側不変接続を与えた場合, 調和写像方程式は零曲率表示をみたし, ループ群論的構成法を与えられることを示すことができた(Josef Dorfmeister氏, 小林真平氏との共同研究)。 3. 前年度に引き続き, 3次元佐々木空間形内の特徴的な曲線の研究を行った。 古典的な静磁場に関する荷電粒子の運動は, 一般のリーマン多様体に自然に拡張できる。測地線の方程式に磁場の作用を受けた項が添加されたものとして、荷電粒子の軌道方程式が導かれる。Marian Ioan Munteanu氏との共同研究で3次元ベルジェ球面内の標準的接触構造から自然に定まる磁場に対し, 閉軌道の分類を行った。また3次元正規概接触多様体における定傾曲線(slant curve)についてJi-Eun Lee氏と共同研究を行った。 4. 測地線は定義域が1次元の場合の調和写像であるため, 実績3で考察した荷電粒子の軌道方程式を一般次元のリーマン多様体を定義域とする写像に対して拡張することが考えられる。Munteanu氏との共同研究で, ベクトル場を指定したリーマン多様体からリーマン多様体への写像に対し, 磁場項をもつ調和写像(magnetic map)の概念を導入しその偏微分方程式を導いた。さらに基本的な具体例を構成した。
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