1.コンパクト型Hermite対称空間の二つの実形の交叉に関する田中真紀子氏、 井川治氏との共同研究、 2.複素旗多様体の対蹠集合と二つの実形の交叉に関する入江博氏、 酒井高司氏との共同研究、 3.有向実Grassmann多様体の対蹠集合の組合せ論的な研究を これまでの研究に続き発展させた。 1.については、コンパクト型Hermite対称空間の二つの実形の交叉をさらに 詳しく調べることにより、 複素Grassmann多様体内の実Grassmann多様体の場合の結果を出版した。 一般の場合にも離散的な交叉はある種のWeyl群の軌道になることがわかり、 さらにこのWeyl群の作用に関して二点等質であることもわかった。 これらの結果については論文にまとめ、 受理され出版が決定した。 2.については、複素部分空間の系列からなる複素旗多様体内の 四元数部分空間の系列からなる二つの実形の交叉に関する結果を出版した。 さらに、コンパクト型Hermite対称空間の場合と同様に複素旗多様体の場合も 二つの実形の交叉を調べるためには対称三対の手法が有効であることがわかり、 交叉が離散的になるための必要十分条件、 離散的な交叉が対蹠集合になり、ある種のWeyl群の軌道になること などを解明した。 これらの成果は現在論文にまとめているところである。 3.については、対蹠的部分集合の系列を構成した論文を出版した。 階数が5以下の場合の対蹠的部分集合の評価を昨年度得たものより精密にして 論文にまとめ、受理され出版が決定した。
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