研究概要 |
研究課題であるアダマール多様体のホロ球の微分幾何学としての研究を遂行した。典型的アダマール多様体である実、複素、四元数双曲空間の体積エントロピーに関する特徴づけを行うことができた。特に複素双曲ならびに四元数双曲空間のケースでは、次の剛性定理を証明できた:定理(複素双曲剛性定理)(X,g,J) を n 次元近似ケーラー的アダマール多様体でリッチ曲率 Ric ≧ -(n+2)とする。任意の測地線 v(t) に沿って構造ベクトル w(t) = J v(t) がとる、測地線に直交するホロ球の第二基本形式の値が h(w(t),w(t)) ≦ -2 ならば、(X,g,J) の体積エントロピー t ≦ n 以下であり、等号 t = n 成立は (X,g,J) が正則断面曲率 -4 一定の複素双曲空間であるときかつそのときにかぎる。定理(四元数双曲剛性定理)(X,g,J_1,J_2,J_3) を n 次元四元数ケーラー的アダマール多様体でスカラー曲率 s ≧ - n(n+8)とする。任意の測地線 v(t) に沿って構造ベクトル w_i(t) = J_i v(t), i=1,2,3 がとる、測地線に直交するホロ球の第二基本形式の値の和 h(w_1(t),w_1(t)) + h(w_2(t),w_2(t)) + h(w_3(t),w_3(t)) ≦ - 6 ならば,(X,g,J_1,J_2,J_3) の体積エントロピー t ≦ n+2 であり、等号 t = n+2 成立は (X,g,J_1,J_2,J_3) が正則断面曲率 -4 一定の四元数双曲空間であるときかつそのときにかぎる。 研究の意義は、数多くのコンパクト版剛性定理に対し、非コンパクト版剛性定理を示すことに成功したことにある。漸近調和アダマール多様体のホロ球平均曲率と体積エントロピーの関係を導出したことが大きい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定していた出張(Italy、France)が25年度に延期になったため発生した残額を次年度に使用する。そのため24年度の次年度使用額・25年度経費ともに下記国際会議や欧州の専門家との研究討議および国内学会・研究討議のため旅費に重点的に使用する。 1.国際会議(DGA2013conference Brno,Czech)、国際会議 (Paris,France)に参加し 研究発表し、専門家と研究討議する。1.1 DGA2013conference Brno では調和アダマール多様体の上のHelgason-フーリエ変換論の研究の途中経過報告をする。1.2 GSI'13 conference on Geometric Science of Information at Ecole des Mines in Paris,France では重心写像のフィッシャー情報計量幾何学を発表する。1.3 Helgason-フーリエ変換論の一人者Italy の Astengo氏、France の Anker 氏と連絡を緊密にとって研究討議のため訪問する。 2. 国内の学会に積極的に参加し研究発表する。 3. これらの発表とは別に、国内一線研究者と個別に研究討議を行うことを立案中である。 4. この間 密度の濃い研究討議を行ってきた共同研究者とはさらに継続して研究討論を行う。
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