研究課題/領域番号 |
24540066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
北川 義久 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (20144917)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 微分幾何学 / 部分多様体 / 3次元球面 / 平坦トーラス / 直径 / 剛性 / 正則閉曲線 / 2重接触 |
研究概要 |
研究代表者は,1980年代後半,2次元単位球面上の正則閉曲線対から3次元単位球面内の平坦トーラスを構成する方法を開発した.そして,この構成法を応用することにより,現在までに,3次元単位球面内の平坦トーラスに関する興味深い研究成果を数多く得た.しかし,3次元単位球面内のクリフォードトーラスの剛性に関する問題など,重要な未解決問題も残されている.このような現状をふまえ,本研究では,研究期間(平成24年度~26年度)内に,次の二つの研究を実施し,この分野の更なる発展を目指すこととした. (研究A)3次元単位球面内の平坦トーラスの直径は円周率に等しいという「直径予想」に関する研究を推進し,この分野における重要な未解決問題である「クリフォードトーラスの剛性」に関する問題の解決を目指す. (研究B)3次元単位球面内の平坦トーラスについて得られている諸定理の高次元化の問題を研究するため,(2n-1)次元単位球面内の n次元平坦トーラスの構成法を開発する. 今年度は,本研究実施計画の初年度であり,実施計画に従い2名の連携研究者と本研究の目的についての理解を共有するための研究打合せを行い,特に,直径予想と2次元単位球面上の閉曲線対に関する2重接触予想との同値性を確認した.この同値性は,直径予想を解決するための重要なステップである.今年度の6月下旬に,数理解析研究所における微分幾何学関連の共同研究集会「部分多様体と四元数構造」で講演した際,この同値性が直径予想を解決するための重要なアイデアであることを説明し,さらに2重接触予想の部分的解決についても述べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように,研究 A は計画通りに進展している.研究 B についてはやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の通りである. 研究A については,直径予想と2次元単位球面上の正則閉曲線対の2重接触予想との同値性を確認したので,連携研究者とともに,2重接触予想の完全解決を目指す.さらに,クリフォードトーラスの剛性に関する問題を解決する. 研究B については,(n-1)次元複素射影空間内のラグランジュ平坦トーラスから (2n-1)次元単位球面内のn次元平坦トーラスが自然に構成できることをふまえ,特に,2次元複素射影空間内のラグランジュ平坦曲面の構成法についての研究を重点的に推進する.このような曲面の構造方程式を導き,連携研究者とともに,この偏微分方程式の解の構成法を開発する.さらに,解の2重周期性について研究し,2次元複素射影空間内のラグランジュ平坦トーラスの構成法を確立する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を推進するために参照したい書籍を注文したが,そのうちの2冊が年度内に納入されなかったため残額が生じた.次年度初旬には入荷予定であり,次年度以降に請求する研究費の使用計画への影響は無い.
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