• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

リーマン多様体のコンパクト化とグラフの埋め込み

研究課題

研究課題/領域番号 24540072
研究種目

基盤研究(C)

研究機関金沢大学

研究代表者

加須栄 篤  金沢大学, 数物科学系, 教授 (40152657)

研究分担者 服部 多恵  石川工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40569365)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードp-調和関数 / p-ディリクレ和有限関数 / 倉持コンパクト化 / 測地的コンパクト化
研究概要

非再帰的ネットワークの倉持コンパクト化を考える。Ancona-Lyons-Peres(1999)によると、 ディリクレエネルギー有限な関数はそのランダムウォークに沿って概収束 かつL2収束する。本研究では、ランダムウォークは倉持境界の調和境界に値を持つ確率変数に概収束し、ディリクレエネルギー有限な関数はランダムウォークに沿って調和境界上のL2関数に概収束かつL2収束することを示した。この結果が示すように倉持コンパクト化は重要なコンパクト化である。しかしたとえばアダマール多様体の測地的レイによる幾何的コンパクト化との関係を見つけるのは2次元以外では難しい。
本研究では、ネットワークのエネルギーとして指数pのディリクレエネルギーを考え,これに関するp-倉持コンパクトを考察する。これは距離付可能なコンパクト化であり、うまく距離を選ぶと、グラフ距離を持つグラフからそのp-倉持コンパクト化への恒等写像はp-エネルギー有限であることを示した。これはこの距離に関するリプシッツ関数は全てp-エネルギー有限関数であることを意味し、倉持コンパクト化の幾何学手法によるアプローチを可能にすると思われる。とくにアダマール多様体あるいはそのネットからp-倉持コンパクト化の場合にも当てはまる。本研究では、p-倉持コンパクト化を与える関数族、すなわち有界な集合の外においてp-エネルギー最小な関数―とくに有界集合の外でp-調和となっている―からなる族は、実はp-ディリクレ空間において稠密であることを明らかにした。この意味でp-倉持コンパクト化は、p-ディリクレ空間を表現する最適なコンパクト化であると考える。 アダマール多様体の幾何的コンパクト化の境界付近での、有界な集合の外においてp-エネルギー最小な関数の測地線に沿った挙動に注目している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非再帰的ネットワークの倉持コンパクト化の場合、ランダムウォークは倉持境界の調和境界に値を持つ確率変数に概収束し、ディリクレエネルギー有限な関数はランダムウォークに沿って調和境界上のL2関数に概収束かつL2収束することを示した。この結果から、双曲平面をモデルにした空間の測地的レイによる幾何的コンパクト化と倉持コンパクト化との関係を見つけることができる。
高次元の場合の研究のため、ネットワークのエネルギーとして指数pのディリクレエネルギーを考え, これに関するp-倉持コンパクトを考察した。グラフ距離を持つグラフからそのp-倉持コンパクト化への恒等写像はp-エネルギー有限であり、したがってこの距離に関するリプシッツ関数は全てp-エネルギー有限関数であることを意味し、倉持コンパクト化の幾何学手法によるアプローチを可能にしたとは思われる。とくにアダマール多様体あるいはそのネットからp-倉持コンパクト化の場合にも当てはまる。一方p-倉持コンパクト化を与える関数族、すなわち有界な集合の外においてp-エネルギー最小な関数―とくに有界集合の外でp-調和となっている―からなる族は、実はp-ディリクレ空間で稠密であることを明らかにした。このことから研究の対象を有界な集合の外においてp-エネルギー最小な関数に絞ることができたことになる。

今後の研究の推進方策

p-倉持コンパクト化を与える関数族、すなわち有界な集合の外においてp-エネルギー最小な関数―とくに有界集合の外でp-調和となっている関数―からなる族は、実はp-ディリクレ空間で稠密であることを明らかにした。この意味でp-倉持コンパクト化は、p-ディリクレ空間を表現する最適なコンパクト化であると考え、従って測地的コンパクト化を考える際にも、この関数に注目することになる。現時点ではp-エネルギ―に係わるラプラシアンは非線形であるため、境界挙動を見る際に用いる自然な測度は何かが問題となる。この点について、ユークリッド空間の有界領域でのp-ラプラシアンの最近の研究が参考になる。境界挙動を捉えるための   J.Lewis等による研究に着目している。

次年度の研究費の使用計画

図書費を含む設備品費として 100,000円、 PC関係周辺機器を含む消耗品費として 200,000,  研究打ち合わせおよび研究発表のための旅費として 680,000円, 資料整理・情報収集に対する謝金として20,000円

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Functions with finite Dirichlet sum of order p and quasi-monomorphisms of infinite graphs2012

    • 著者名/発表者名
      Tae Hattori and Atsushi Kasue
    • 雑誌名

      Nagoya Math. J.

      巻: 207 ページ: 95-138

    • DOI

      DOI 10.1215/00277630-1630041

    • 査読あり
  • [学会発表] グラフの埋込みとレイリーの単調性法則

    • 著者名/発表者名
      加須栄篤
    • 学会等名
      2012 日本数学会 秋季総合分科会
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス
    • 招待講演
  • [学会発表] 無限ネットワーク上のランダムウォークと倉持境界

    • 著者名/発表者名
      加須栄篤
    • 学会等名
      第55回関数論シンポジウム
    • 発表場所
      金沢大学サテライトプラザ
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi