研究課題/領域番号 |
24540076
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上 正明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80134443)
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研究分担者 |
加藤 毅 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20273427)
藤井 道彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60254231)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 4次元多様体 / 3次元多様体 / Seiberg-Witten理論 / Heegaard Floerホモロジー / ザイフェルト多様体 / ホモロジーコボルディズム |
研究実績の概要 |
3,4次元多様体の不変量に関する研究を継続した.特に境界付き4次元多様体のトポロジーを知るためには3次元多様体のホモロジーコボルディズム不変量を見いだすことが重要である.3次元多様体がザイフェルト有理ホモロジー3球面の場合にそのような不変量としてmu-bar不変量とHeegaard Floerホモロジー由来の補正項不変量が知られているが,一般には両者は一致しない.その関連を見いだすべくある種のザイフェルト有理ホモロジー3球面の場合にmu-bar不変量が解析的なエータ不変量で表されることを見いだした.これは以前からの研究の継続であるが,Seiberg-Witten方程式の有限次元近似を用いた幾何学的意味づけを行い,以前より広い範囲で対応が成り立つことを示し,その結果を記述したプレプリントを改訂拡充し,その成果を東京大学および京都大学における研究集会で発表した.また2013年に5次元以上の位相多様体の単体分割予想を否定的に解決したManolescuによる新たな3次元多様体のホモロジーコボルディズム不変量などとの関連を探ることが今後の課題である.なお自身の結果を含む4次元多様体のトポロジーに関する包括的教科書の執筆を,これらの新たな成果を取り入れる形で進めており,今年中の完成を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3次元多様体の種々のホモロジーコボルディズム不変量の関連のSeiberg-Witten理論を用いた幾何学的幾何学的意味づけをザイフェルト有理ホモロジー3球面に対して得ることには成功した.これをより一般化しホモロジーコボルディズム不変でかつ古典的なRochlin不変量の整数値への持ち上げとなるものを見いだすことが5次元以上の位相多様体の単体分割可能性に関する予想の解決に重要であったが,2013年にManolescuが異なる手法によりそのような不変量を見いだして予想を解決した.このためそのような新たな手法の進展を考慮に入れて研究方針を練り直す必要が生じた.また4次元多様体の包括的教科書の執筆をすすめているが,これらの新たな研究の進展を取り込むために大幅な拡充を行なっており完成が遅延している.
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今後の研究の推進方策 |
ザイフェルト有理ホモロジー3球面の種々のホモロジーコボルディズム不変量の関連に関する結果を表したプレプリントを拡充整備して出版,研究集会での発表を行いたい.またManolescu等により新たに発見された不変量との関連を探るためにSeiberg-Witten Floerホモトピーなどのより高次の概念の解明をめざす.そのために他の研究者,研究分担者との研究に関する意見交換,情報収集に努める.また自身の結果を含む形での4次元多様体の教科書の執筆を新たな内外の研究成果を取り入れる形で進めており,今年度中の完成,発表をめざしたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
3次元多様体のホモロジーコボルディズム不変量の研究を進めており,当初は古典的なRochlin不変量の整数値への持ち上げともなるものは知られていなかったが,2013年にManolescuが両者の性質をもつ不変量を発見したため,新たな研究の進展を考慮に入れるべく研究計画を再考せざるを得なくなった.このため研究発表も一部見送り以前から進めている4次元多様体の教科書の完成も新たに進展した内外の研究を取り込むため遅れることとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は新たな視点を取り込んだ研究発表や他研究者との研究連絡のための旅費,新たに進展した内外の研究をよりよく理解するための研究書の購入,およびそれら新たな研究成果を加筆した4次元多様体の包括的教科書の執筆,発表のためのコンピュータ関連の環境の整備の費用にあてたい.
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