研究課題/領域番号 |
24540080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
木村 真琴 茨城大学, 理学部, 教授 (30186332)
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研究分担者 |
大塚 富美子 茨城大学, 理学部, 准教授 (90194208)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リッチ・ソリトン / 特殊ラグランジュ部分多様体 / Austere 超曲面 |
研究概要 |
球面内の austere 部分多様体は、その球面の余接束に導入される Calabi-Yau 計量に関する特殊 Lagrange 部分多様体を構成できるので、重要かつ興味深い研究対象であるが、本年度5次元球面内の austere 超曲面で、単位複素数の作用で不変なものについて研究した。特に、対応する複素射影平面内の3次元実超曲面が Hopf 超曲面である場合には、その Hopf 超曲面は等質で複素2次曲面上の tube であることを示し、この時の5次元球面内の austere 超曲面は、4つの異なる主曲率をもつ等径超曲面であることを示した。また、複素射影平面内の実超曲面が Levi-flat であるときには、全測地的実射影平面によって葉層化されていて、以前の研究より、特殊ユニタリー群 SU(3) の1-パラメーター部分群による実射影平面の軌道となっていることが分かった。また対応する5次元球面内の austere 超曲面は4つの異なる主曲率をもつことが具体的な計算により分かった。そのような austere 超曲面は等径超曲面以外には知られておらず、新しい例である。リッチ・ソリトンの部分多様体論的考察については、定曲率空間内の超曲面で特に gradient Ricci soliton について、Potential 関数のレベル超曲面に着目して研究を進めている。さらに、複素空間形内の Hopf 超曲面について、(不定値)2次元部分空間のなす複素 Grassmann 多様体への Gauss 写像を考察することにより、複素射影空間内の場合には、四元数ケーラー構造に関する全複素部分多様体、複素双曲空間の場合にはその Hopf 曲率に応じて、totally complex, totally para-complex あるいは冪零的な構造に関する不変部分多様体が対応することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年には2つの論文が刊行され、2013年度には3つの論文が刊行(予定)である。さらに現在いくつかの論文を執筆中あるいは準備中であり、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まず定曲率空間内の超曲面で gradient Ricci soliton について、そのポテンシャル関数の gradient が主曲率ベクトルである場合、さらにポテンシャル関数が等径関数である場合にその幾何学的構造を解明していく。複素空間形内の実超曲面について、Hopf 超曲面と複素 Grassmann 多様体の部分多様体との関連の研究を完結させる。Levi-form が umbilic である3次元超曲面の構成に関する J.T. Cho 氏との共同研究をまとめる。Austere 超曲面に関する最近の研究を発展させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年4月に島根大学総合理工学部から茨城大学理学部に転任した為、予定していた松江微分幾何学研究集会が開催できなかったのと共に、予定していた国内外への出張、研究打ち合わせなどができなかったが、今年度は共同研究者の J.T. Cho 氏と相互訪問して研究の進展を図ると共に、チェコや松江で行われる国際研究集会に赴き、研究成果を発表する予定である。
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