研究課題/領域番号 |
24540080
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
木村 真琴 茨城大学, 理学部, 教授 (30186332)
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研究分担者 |
大塚 富美子 茨城大学, 理学部, 准教授 (90194208)
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キーワード | Hopf 超曲面 / 全複素部分多様体 / Austere 超曲面 / リッチ・ソリトン |
研究概要 |
リッチ曲率が0であるケーラー多様体、すなわちカラビ・ヤウ多様体内の特殊ラグランジュ部分多様体は、その重要性から幾何学のみならず数理物理においても盛んに研究されている。関連して、実ユークリッド空間あるいは球面内の austere 部分多様体から、複素ユークリッド空間あるいは球面の余接束内の特殊ラグランジュ部分多様体が構成できることが知られている。本研究では、複素射影平面内の実超曲面の、Hopf ファイブレーションによる逆像であるような 5次元球面内の超曲面で austere となるものについて考察した。その重要な例として、4つの異なる一定主曲率をもつ極小等径超曲面があるが、複素射影平面内の Hopf 超曲面による特徴づけを与えた。さらに、複素射影平面内の実超曲面が Levi 平坦であるとき、その Hopf ファイブレーションによる逆像であるような 5次元球面内の超曲面で austere となるものを新たに構成した。 一方、複素射影空間内の Hopf 超曲面は、focal map の階数が一定という条件の下で、複素部分多様体上の tube と同じであることが知られているが、本研究では Hopf 超曲面の複素 2-平面グラスマン多様体へのガウス写像の像が、四元数ケーラー構造に関する全複素部分多様体であることを明らかにした。同様に、複素双曲空間内の Hopf 超曲面についても、不定値複素 2-平面グラスマン多様体へのガウス写像の像が、パラ四元数ケーラー構造について性質の良い部分多様体であって、構造ベクトル場の主曲率の値によって大きく3通りに分けられるクラスを統一的に捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5次元球面内の austere 超曲面で、複素射影平面内の実超曲面の Hopf fibration による逆像となっているものについて研究し、特に実超曲面が Hopf あるいは Levi-flat の場合に分類した。複素射影空間内の実超曲面から複素 2-plane Grassmann 多様体へのガウス写像を考察し、特に実超曲面が Hopf の場合には、ガウス写像の像が複素 2-plane Grassmann 多様体の半分次元で、四元数ケーラー構造に関して全複素部分多様体となっていることを示した。複素双曲空間内の Hopf 超曲面については、不定値の複素 2-plane Grassmann 多様体へのガウス写像を考察し、パラ四元数ケーラー構造に関して、ガウス写像の像が Hopf 曲率の値に応じて3通りの性質をもつことを示せたので、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
複素 2-plane Grassmann 多様体内の半分次元の全複素部分多様体から、複素射影空間内の Hopf 超曲面が構成できることを示すために、お茶の水女子大の塚田和美教授や大阪市立大学の大仁田義裕教授と研究打ち合わせを行いながら共同研究を進める。また、球面内のリッチ・ソリトン超曲面、および複素射影空間内の全測地的部分多様体で foliate された実超曲面について、韓国・全南大学の Jong Taek Cho 教授と研究打ち合わせを行いながら共同研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
ミシガン州立大学の Bang Yen Chen 教授と研究打ち合わせを行うべく、East Lansing を訪問する予定であったが、Chen 教授が退職されたため訪問が不可能となった。 26年度に予定していた旅費の計画と合わせて、お茶の水女子大の塚田教授および大阪市立大の大仁田教授との研究打ち合わせの旅費に充てるのと共に、新しいOSのPCの購入に充てる。
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