研究課題/領域番号 |
24540084
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 治 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10153595)
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キーワード | 共形幾何 / 正則ホモトピー / 山辺不変量 |
研究概要 |
平成25年度の最も大きな成果は,閉曲面上の閉曲線の正則ホモトピー不変量の共形幾何学的表現についての研究が一段落した事にある.正則閉曲線が与えられた時共形的回転数と言う曲面から円周への関数が曲率を用いて共形不変に定義され,その微分として得られる閉形式のドラムコホモロジー類が曲線のポアンカレ双対になると言う結果である.スメールの結果によれば閉曲線の正則ホモトピー類は曲面の単位接束の基本群と対応がつく事が知られている.これを可換化すると単位接束の1次元ホモロジー群となるが,共形的回転数はこのホモロジー群の要素を決定できる.したがってこの方向での残る大きな問題は正則ホモトピーの群の非可換性をどのように幾何学化するかとなる.今後の課題として取り組みたい.また曲面は向付け可能なものに限定しているがそうでない場合の問題も残っている.長期的には高次元化が問題である. 山辺不変量の決定問題はスピン幾何の手法でさらなる理解を得ようとしたがうまく行かなかった.2次元球面2個の直積,複素射影平面の1点ブローアップ,この2つの4次元多様体に焦点を絞っている.力業となるが特異計量の平滑化を試みた.成果を得るには至ってない. 共形的シュヴァルツ微分については,これがリーの球面幾何,ラゲールの球面幾何と関係がある事がはっきりしてきた.これら2つの古典幾何は新しい文献がほとんどなく,自ら理論の再構成の仕事を始めている. アファイン接続のリッチ曲率についての研究は,当面の目標となる問題があるものの十分に考える余裕がなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に述べたように,懸案の問題を解決する事ができた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の基軸となる問題は山辺不変量の解明にあるが,考察を深めるごとに困難な問題である事が分かる.そのため,この主問題からは少し距離を置き,より周辺の共形幾何,射影微分幾何の問題に取り組みたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
赤字になる事をおそれ,年度末に支出を控えたため. 次年度(本年度)の物品費の一部として使いたい.
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