研究概要 |
1.長谷川教授とコンパクト局所共形ケーラー多様体 G/HはVaisman多様体になることを示した(計量がparallel)。その後D. Alekseevsky, V. Cortes, 長谷川敬三 教授たちとともに非コンパクト局所共形ケーラー多様体の研究を行った。その結果正規化群N(H)がコンパクトならば, Vaisman多様体になることを示した。この条件が無いとき, R x SL(2,R)は反例となり, non-Vaisman局所共形ケーラー多様体になることがわかった。 2. S1- fibered Bott towerの一般化として複素トーラスT のiterationによって得られる正則fiber orbi-bundleを正則ボットタワーとよび, 特徴づけを行った。Bott toweのtop space Mを正則Bott多様体という。定義よりMの基本群はvirtually nilpotent群Γである。このときΓを基本群に持つholomorphic infranil manifold N/Γを構成することによって, MはN/Γと正則同型となることを示した。 3.2で構成した正則Bott多様体にどのような幾何構造が入るかを次に研究した。幾何構造として複素contact構造を考え, 複素contact similarity多様体を変換群の観点から考えた。Iwasawa nilpotent Lie群Nをとりその上に複素contact構造を構成し, その構造を保つ複素affine flat変換群を考え, 離散群ΓがNに固有不連続に作用する時コンパクト複素contact多様体N/Γを得た。これは四元数ユークリッド平坦軌道体を底空間にもちTをfiberとする正則Seifert fiber束である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の1,2,3が今年度の成果である。どれもさらにレベルアップして継続研究していくテーマである。年度の区切りとしては、かなりの達成度を感じている。複素多様体とnil多様体をこのようなtowerでとらえるのは初めてで, nilpotent群の一意性が十分使われている。今後solv多様体をfiberにもつBott towerが考えられる。コンパクト複素contact多様体は同時に複素affine flat多様体にもなっているため、Auslander-Milnor予想の複素バージョンに役に立つ可能性がある。 Lck多様体はこれまでの変換群の手法からリー環の手法に切り替え、上記の結果を得た。当然変換群で捉えても、同様の結果は出せるものと期待している。
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