研究課題/領域番号 |
24540088
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
横田 佳之 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (40240197)
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キーワード | 結び目 / ジョーンズ多項式 / 体積 / チャーン・サイモンズ不変量 / Aー多項式 / ライデマイスター・トーション |
研究概要 |
結び目の体積予想とは、結び目のジョーンズ多項式の極限に結び目の補空間の体積が現れる、という予想で、ジョーンズ多項式の発見以降活発に研究されてきた量子不変量と、結び目補空間の幾何構造を結びつける、重要な予想です。今年度の研究では、ジョーンズ多項式の極限に現れるポテンシャル関数に注目しました。 具体的には、ポテンシャル関数に、結び目のデーン手術のパラメータに由来する項を付加することにより、デーン手術の結果、得られる閉3次元多様体の体積とチャーン・サイモンズ不変量、いわゆる複素体積の、正確な公式を導くことに成功しました。この結果は過去に行った結び目補空間の複素体積公式の応用です。 またポテンシャル関数のヘッシアンを用いて、結び目補空間の基本群の2次特殊線形群への表現における、緯線の固有値の変化を、経線の固有値の級数として書き下す方法を発見しました。緯線と経線の固有値は、Aー多項式と呼ばれる関係式を満たすことが知られており、結び目の例外的デーン手術や非圧縮曲面など、位相幾何学的に重要な情報を多く含んでいますが、残念ながら計算が非常に困難です。本研究の結果から、Aー多項式をより効率的に計算する方法を開発できる可能性があります。 ポテンシャル関数のヘッシアンは、ライデマイスター・トーションと呼ばれる不変量との関係も期待され、結び目のジョーンズ多項式の漸近展開における高次項の研究の足がかりとなるはずです。今後も引き続き、ポテンシャル関数の研究を発展させていきたいと思います。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
結び目のポテンシャル関数やその変形、ポテンシャル関数のヘッシアンなどの理解が進み、 結び目のジョーンズ多項式の漸近展開における高次項の研究の足がかりは整いつつあるが、 目標の漸近展開における初項の解析、すなわち体積予想の完全解決のメドがたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で得られた成果を、8月に予定されている国際ワークショップで発表する。 その際、ジュネーブ大学のカシャエフ氏と情報交換を行い、研究の方向性を検討する。 またAー多項式やライデマイスター・トーションに関する情報収集・意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本務との兼ね合いで、スケジュールが調整できず、海外出張を取りやめた。 本研究課題の最終年度のため、8月のヨーロッパ出張に加え、国内出張を増やし、成果発表を行う。このため、平成26年度の旅費は、70万円程度と見込んでいる。また、計算機ソフトのアップデートなど、計算機環境の充実に20万円程度使用する予定である
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