研究課題
平面離散曲線の離散的変形のうち、もっとも基本的なのは隣接する2点間の距離を保つような変形(等周変形)であり、そのような変形は離散modified KdV方程式によって統制されることが知られている。等周変形は、平面の幾何構造としてユークリッド幾何を指定した場合にいちばん自然と思われる離散的変形である。また、平面の幾何構造として等積中心アフィン幾何を指定した場合には、平面離散曲線の離散的変形として自然なのは、隣接する2点と原点がつくる三角形の面積を保存するような変形(等積変形)であり、そのような変形は離散KdV方程式で統制されることも知られている。そこで本年度は、平面の幾何構造をさらに変えて、相似幾何の枠組みで平面離散曲線の離散的変形を考察した。相似幾何のもとで自然と思われる離散的変形は、隣接する「接ベクトル」間の角度を保存するような変形である。これを平面離散曲線の等角変形とよぶ。ユークリッド幾何の場合が長さを保つ変形(等周変形)、等積中心アフィン幾何の場合が面積を保つ変形(等積変形)、相似幾何の場合が角度を保つ変形(等角変形)となっており、それぞれの幾何の特徴を反映している。本年度の研究によって次のことがわかった。 (1) 平面離散曲線の等角変形は離散Burgers方程式によって統制される。 (2) 離散Burgers階層によって統制されるような平面離散曲線の等角変形の無限系列を構成することができる。 (3) 高次離散Burgers方程式の衝撃波解にしたがって時間発展する平面離散曲線の等角変形列について、その位置ベクトルを明示的に求めることができる。 (4) 以上の結果はすべて非自励化することができる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
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