相転移や臨界現象を示すスピン系数理モデルの代表格に,(強磁性)イジング模型やφ4モデルがある.2007年,坂井は「ランダムカレント表示」という確率幾何学的な表現を用い,イジング模型に対するレース展開を開発した.この確率幾何学的な表現をさらに発展させ,φ4モデルに対してレース展開が適用できることを証明,高次元における臨界2点関数の漸近評価を導出した.また,スピン間の直接相互作用係数がスピン間距離の冪で減衰する場合についての解析手法を確立,その冪指数の値に依存して,高次元における臨界2点関数が漸近的にNewton核のように振る舞ったり,或いはRiesz核のように振る舞うことを証明した.
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