研究実績の概要 |
デジタルコンテンツの不正な流通を防ぐために,不正ユーザの結託攻撃に耐性を持つ指紋符号を構成し,それに基づいた不正ユーザ追跡するアルゴリズムを開発した. (1)Cheng・Fu・Jiang・Lo・繆(雑誌論文3)は,分離可能符号の符号語数の既存上界をグラフ理論に基づいて改善し,新しい上界に達する最適な分離可能符号の無限系列を射影平面を用いて構成した.(2)分離可能符号に基づいた追跡アルゴリズムの計算量はMのt乗であり,非効率的である.効率の高い追跡アルゴリズムを開発するために,Jiang・Cheng・繆(雑誌論文1)は強分離可能符号を導入し,それに基づいた追跡アルゴリズムの計算量はMであることを示した.組合せ的アプローチにより,強分離可能符号の無限系列も構成した.(3)完全ハッシュ関数族はデジタル指紋だけでなく,ほかの情報分野でもよく使われている.藤原(雑誌論文2)は有限幾何に基づいて,完全ハッシュ関数族の無限系列を構成した. 指紋符号及び不正ユーザ追跡アルゴリズムは,遺伝子解析や情報通信などと密接な関係がある.デジタル指紋の研究で得られた知見をモチーフ発見問題や多重接続通信,量子情報へ適用し,面白い結果を得た(雑誌論文5, 6, 7, 8, 9).基礎研究として,平尾・澤・神保(雑誌論文4)はある種の最適なデザインも構成した. 我々の論文が, 既に一流の国際学術誌 IEEE Transactions on Information Theory などに掲載された.組合せ的アホローチからデジタル指紋や関連分野に関する研究か急速に進む中で,我々の研究結果は大きく貢献した.
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