研究課題/領域番号 |
24540126
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
BRENDLE Jorg 神戸大学, その他の研究科, 教授 (70301851)
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キーワード | 数学基礎論 / 集合論 / トポロジー / 測度論 / 強制法 / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成25年度は、実数全体の部分集合を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、反復強制法などの集合論の洗練された技法を用いることによって、自然数全体の部分集合からなるギャップ(gaps)や極大のほとんど交わりがない集合族(mad families)などの極大条件を満たす自然数のベキ集合の部分集合に焦点を絞って研究を行った。主な研究実績は下記通りである。 1.Mejia との共同研究で、解析的商構造における Rothberger ギャップの最小の長さを調べており、解析的商構造の特別な場合である fragmented イデアルで割った商構造について次の二分法を得た:gradually fragmented でない多くのイデアルに対して、(omega,omega_1)-ギャップが存在するが、全ての gradually fragmented イデアルに対して、(omega,kappa)-ギャップが存在するような最初の基数 kappa が零イデアルの加法性以上となることを証明した。 2.Brooke-Taylor、Ng と Nies との共同研究で、実数の集合論における連続体の基数不変量と、計算可能性理論におけるテューリング次数の高度性質(highness properties)の間の類似を発展させた。 3.Brooke-Taylor との共同研究で、bounding number と almost disjointness number という2つの連続体の基数不変量の間の関係についての無矛盾結果の新しい証明を得た。 4.Garcia との共同研究で、ラムズィー理論における Hindman の定理を強制法の理論の観点から調べており、Hindman の定理と関連する極大フィルタや基数不変量などの概念を対応する古典的な概念と比べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極大のほとんど交わりがない集合族(mad families)、極大フィルター(ultrafilters)やギャップ(gaps)についての研究がおおむね計画通り進展しているが、「i(Borel) = i かどうか?」や「余解析的な極大の独立な集合族の存在が連続体の基数不変量の値へどのような影響があるか?」などの極大の独立な集合族(maximal independent families)についての基本的な問題が未解決のまま残されている。
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今後の研究の推進方策 |
強制法の理論をはじめ、組合せ論的集合論、記述集合論、トポロジーや測度論などの数学の分野の最先端の技法を用いて、下記の問題の解決に焦点を絞って、極大のほとんど交わりがない集合族(mad family)、極大の独立な集合族(maximal independent family)、極大フィルター(ultrafilter)やギャップ(gap)に関連する基数不変量についての理解を深めて行く。また、それらの極大性条件を満たす集合族の射影的階層における定義可能性についての研究も行って行く。 まず、余解析的(coanalytic)な mad families や極大の独立な集合族の非存在と、射影的階層における集合のいくつかの正則性の性質(regularity properties)の関係を調べる。例えな、Sigma 1 2 集合のラムズィー性質が余解析的な mad families の非存在を導くかどうか、などの未解決の問題について研究を行う。また、極大条件を満たす射影的な集合族の基数不変量の値との関係をより深く調べる。 実数の集合論や強制の理論などについては世界的に研究が行われているため、海外の指導的研究者との意見交換や共同研究は必要不可欠である。そのため外国旅費に重点をおく計画である。現在の主な研究打合せや研究の成果発表の予定は下記通りである。 5月:ボン大学で行われる研究集会にて招待講演及び Koepke や Schlicht などの研究者との共同研究。 9月:ポズナニで行われる国際会議「DMV PTM joint meeting」にて招待講演及び参加者との意見交換。マルセーユ大学で行われる研究集会「Set Theory」にて Velickovic などの参加者との共同研究。
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