研究概要 |
カテゴリカルデータ解析において,いくつかの要因により非常に複雑に関係しあったデータを表現するためには多次元分割表を用いる必要がある。多次元分割表はセル数が非常に多くなるため1つのセル当たりのデータ数が稀となることが多い。このような場合に分析をおこなうと,検定統計量の正確な分布とその漸近分布であるカイ二乗分布との乖離が大きくなり,検定等の信頼性が疑わしくなる。本研究の目的は,一般の多次元分割表における種々の独立性検定において,検定統計量の帰無分布の漸近展開に基づき,標本数が少ない場合にもカイ二乗分布による近似が良い変換統計量を構築することによって, 信頼性の高い方法を開発することである。以上のような研究目的に対し, 2次元のr×s分割表の独立性検定の改良方法の論文である Taneichi and Sekiya (2007) (Journal of Multivariate Analysis) に基づき, 3次元分割表の完全独立性検定統計量の帰無仮説のもとでの分布に対して (1)3次元分割表における完全独立なモデルのもとでの局所エッジワース近似の導出。(2)3次元分割表における完全独立性検定統計量の展開式の導出。(3)3次元分割表における完全独立性検定統計量の分布の多変量エッジワース展開の導出。というステップを踏んで多変量エッジワース展開に基づく近似式の導出をおこなった。これにより3次元の分割表においてカイ二乗分布への近似を改良する変換統計量を構築するための基礎が出来た。
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