研究実績の概要 |
カテゴリカルデータ解析において,いくつかの要因により非常に複雑に関係しあったデータを表現するためには多次元分割表を用いる必要がある。多次元分割表はセル数が非常に多くなるため1つのセル当たりのデータ数が稀となることが多い。このような場合に分析をおこなうと,検定統計量の正確な分布とその漸近分布であるカイ二乗分布との乖離が大きくなり,検定等の信頼性が疑わしくなる。本研究の目的は,一般の多次元分割表における種々の独立性検定において,検定統計量の帰無分布の漸近展開に基づき,標本数が少ない場合にもカイ二乗分布による近似が良い変換統計量を構築することによって, 信頼性の高い方法を開発することである。その目的のために, 24年度から26年度において, M次元分割表における完全独立性検定統計量の分布の多変量エッジワース展開を導出し, それを用いて, 中・小標本でも信頼度の高い変換統計量の構築を行い,そのカイ二乗分布への収束の良さが変換前より優れていることを数値実験により示した。27年度はまず, この変換統計量の検出力が変換前の統計量とほぼ同じであることを示し,これらほぼ3年間おこなってきた完全独立性に関する成果を論文にまとめ, 学術誌への投稿をおこなった。次に, 3次元分割表における一要因対二要因に関する独立性検定統計量の分布の多変量エッジワース展開および改良変換統計量の構築および性能の評価をおこなった。この結果は論文にまとめられ学術誌に公表された。さらに, 研究計画の最終課題の一つである3次元分割表の条件付き独立性検定統計量の分布の多変量エッジワース展開の導出をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
27年度に導出した, 条件付き独立性検定統計量の分布のエッジワース展開に基づき変換統計量の構築をおこない, 変換統計量の性能の評価をおこなう。また, これらの成果の学術論文誌への投稿をおこなう。
また, 将来, 研究対象と考えている,多次元分割表のログリニアモデルに関する情報収集と分担者との研究打ち合わせをおこなう。
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