研究実績の概要 |
q 元体上の長さ n, 次元 k, 最小距離 d の線形符号([n,k,d]q 符号)が存在する限界([n,k,d]q 符号が存在するような長さ n の最小値 n_q(k,d))を決定する問題は、符号理論において最も基本的かつ古典的な研究課題の一つであるが、q と k が小さい値の場合でも多くの未解決問題が存在する重要な研究課題である。本年度は、まず昨年度に扱った5元 5次元の最適な線形符号の構成の一般化を追求し、Belov 型の Griesmer 符号の構成方法を一般化した Griesmer 限界に近い線形符号の構成方法を見出すことができた。これによって、d の q進展開からどのような GPS符号(Simplex 符号から Geometric Puncturing によって得られる線形符号)が構成できるかを簡単に判定できるようになった。この成果については、アメリカで開催された国際会議 CoCoA15 における招待講演で報告した。また、q が比較的大きな値のときの 4次元線形符号の存在限界についても大学院生と共に考察を行った結果、Griesmer 符号の非存在に関する新たな結果が得られ、4次元線形符号の結果のうちの一つは一般の次元で成り立つことも証明できた。これらの結果は、国際学術雑誌 Discrete Mathematics 誌に掲載された。国際的な共同研究としては、PG(2, 7) の(29, 5)-arc の分類をブルガリア科学アカデミーの Iliya Bouyukliev 教授や韓国・慶尚大学の E.J. Cheon 博士と共に行い、conic を用いた有名な Barlotti型 arc から transition という手法で22種類の全ての arc を構成できることを示した。これらの成果については、国内の研究集会等で発表した。
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