研究概要 |
まず,順列の均等分割に関する結果を論文にまとめ,雑誌に投稿した.この結果は,集合{1,2,...,n}上の順列と自然数kが与えられたとき,必要なら2要素を交換することで,一方の部分列の和がkになるように2分割可能というものである.この系として,順列を和がほぼ均等になるように2分割可能であることが保証される.この定理を使って離散幾何学に関する結果も得ているが,これは投稿準備中である.現在,この一般化の均等多分割について取り組んでいる. また,巡回セールスマン問題については,2目的問題について大学院生の大芝氏とともに取り組んだ.2目的巡回セールスマン問題とは各都市間に距離,コストのように2種類の値が割り振られているとき,「悪くはない」解を全列挙する問題である.巡回セールスマン問題自身がNP困難であるため,2目的巡回セールスマン問題はそれ以上に難しいが,Demidenko条件のように巡回セールスマン問題が多項式時間で解ける条件を課すことで,頂点数によっては2目的巡回セールスマン問題の全列挙を行うことが可能である.Ozpeynirci, Koksalan (2010)は,2つの目的関数がいずれもtour improvement techniqueで巡回セールスマン問題が多項式時間で解けることが示されている条件であれば,各辺の値の最大値に依存する多項式時間で2目的巡回セールスマン問題が解けるアルゴリズムを考案している.我々はこれに対し,既存の多目的最適化問題でよく知られているk番目に小さい解を求める手法に注目し,k番目に小さいピラミッド型巡回路を求めるアルゴリズムを考案することで,Ozpeynirciらとは異なるアルゴリズムを作り,計算機実験で比較検討を行った.また,2目的関数がそれぞれSupnick条件,Kalmanson条件のときの,解集合がみたすいくつかの性質を示すことができた.
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