アルゴリズム的情報理論はコルモゴロフ複雑度の理論である。コルモゴロフ複雑度は有限2進列の圧縮時のサイズの理論限界値を与えるものである。私はこれまで、アルゴリズム的情報理論の枠組みの中で、プログラムを量子力学系のエネルギー固有状態、 プログラム長をそのエネルギーと解釈することにより、 これに統計力学的解釈を導入し、研究を進めて来た。これがアルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈である。コルモゴロフ複雑度で実数の圧縮率を計測するとき、この解釈では、各種の熱力学的量の圧縮率はその温度に一致し、更に、温度1で相転移が起こる。本研究課題では、この相転移現象の機構の詳細を明らかにした。
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