研究課題/領域番号 |
24540144
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
酒井 利訓 東海大学, 高輪教養教育センター, 教授 (20267842)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 重み付き点集合 / 単調無交差道 / 島 / 国際研究者交流(メキシコ) / 国際情報交換(スペイン) |
研究実績の概要 |
平面上の重み付き点集合P(一般の位置にあるn点で,重みとして1からnまでの各整数値が1つずつ割り当てられたもの)の何個かの点を頂点とする無交差の折れ線で,その折れ線に沿って頂点の重みが単調に増加(または減少)するものをPの単調無交差道とよび,そこに含まれる頂点の総数をその単調無交差道の長さとよぶ。任意の数列に含まれる単調部分列の長さに関するErdosとSzekeresによる定理から,どのような重み付き点集合Pに対しても長さn^(1/2)以上の単調無交差道が存在することがわかる。研究代表者らは「ある定数c>1が存在して,平面上の任意の重み付き点集合Pに対して,長さcn^(1/2)以上の単調無交差道が存在する」と予想してきたが,平成26年度に,c>1.0045...を示すことにより,この予想を証明した。 また, Pの部分集合Sについて,Sの凸包に含まれるPの点がS自身であるとき,SをPの島とよぶ。島Sに含まれる点の重みの和をSの重みといいW(S)と表す。平成26年度はとくにPの点が凸の位置,すなわち凸n角形の頂点の位置にあり,Sがその凸n角形の連続する何個かの頂点からなる場合について研究が進められた。W(S)としてとり得る値の集合をM_1,2つの互いに素な島の重みの和としてとり得る値の集合をM_2とするとき,「(1)|M_1|がn^2のオーダーである」ことや「(2) M_2={1, 2, …, n(n+1)/2}である」ことが予想されている。これらの予想の証明が試みられる過程で,「ある範囲におけるM_1の値の個数とM_2の値の個数および両者の関係」に関するいくつかの成果が得られた。それらは,「凸の位置にある任意のPに対して(1), (2)の少なくとも一方が成り立つ」,「|M_2|=n^2/2-O(n)」などを示すことにつながるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単調無交差道に関しては,大きな目標としていた「ある定数c>1が存在して,平面上の任意の重み付き点集合Pに対して,長さcn^(1/2)以上の単調無交差道が存在する」という予想を肯定的に解決することができ,その成果を国際会議で発表することができた。 一方,「島(凸多角形)の重み」に関しては,1月に研究協力者(海外共同研究者)であるJorge Urrutia教授を招へいして国内研究者とともに重点的に研究を行い,「研究実績の概要」に記した成果やそれらにつながる事実を見いだすことができた。その後も研究に進展は見られたが,大きな目標としていた成果には至らず,また,得られた研究成果についても,国際会議での発表申込みには間に合わせられなかった。
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今後の研究の推進方策 |
「島の重み」に関する研究成果を海外で開催される国際会議で発表するために,補助事業期間の延長を行った。そこで,島の重みについて,国際会議での発表の直前まで研究の進展に取り組み,発表を行う。また,その研究成果および「単調無交差道」についての最新の研究成果等を論文にまとめ,投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究課題は「島の重み」と「単調無交差道」の2本柱の題材から構成されている。平成26年度は単調無交差道に関する研究成果を秋の国際会議で発表した。その後も両分野で研究に進展が見られたが,発表申込みまでの時間的制約などにより,単調無交差道における最新の研究成果のみを3月の国際会議で発表し,島の重みについては,さらに研究を発展させるとともに,補助事業期間を延長して平成27年度に発表することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度中に発表できなかった「島の重み」に関する研究成果について,海外で開催される国際会議において発表を行う。未使用額は,そのための費用に充てることとしたい。
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