本年度は,具体的に得られた研究成果は主として次の点が上げられる.後の研究発表論文順に概要を述べる:(1)順序カテゴリ正方分割表において拡張した非対称モデルを提案した.具体的にはMcCullagh(1978)のパリンドロミック対称モデルを一般のm個のパラメータをもつ拡張パリンドロミック対称モデルを提案した.父親と息子の学歴データに提案したモデルが良く当てはまることを示し,また,提案したモデルの有用性を与えた. (2)順序カテゴリ正方分割表において修正パリンドロミック対称モデルを提案した.また,対称モデルが成り立つための必要十分条件は修正パリンドロミック対称モデルと累積対称モデルそして平均一致モデルが成り立つことであるという定理を与えた. (3)多変量確率密度関数の対称性の研究で,多変量点対称密度関数,準点対称密度関数,周辺点対称密度関数を定義し,点対称密度関数が成り立つための必要十分条件は準点対称密度と周辺点対称密度の両方が成り立つことであるという定理を与えた.また,多変量正規分布に関してそれらの関係を示した. (4)順序カテゴリ正方分割表においてTomizawa(1992)は対角指数対称モデルを提案した.本研究ではその拡張である準対角指数対称モデルを提案した.また対角指数対称モデルは準対角指数モデルと平均一致モデルの両方が成り立つことであるという定理を与えた.また検定統計量の直交性も証明した.シミュレーションにより,提案モデルの有用性を示した. (5)正方分割表において,いろいろな対称性のモデルの関係を図でわかりやすく示し,多くのモデル分解定理を与えた.また対称モデルの新しい分解を与えた.
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