一つ目の結果としてTsallis relative operator entropyに関して,中国人研究者L.Zouが発表した論文をさらに精密に見積もった結果を出版した.この論文に関連して,3つのパラメータへの一般化された,上界下界の導出を行った.これは,イラン人研究者2名(M. B. GhaemiとN. Gharakhanlu)との共同研究である.当初,彼らから送付された原稿にあった結果では不十分であったため,私のほうで一般的な結果を出して共著として論文を出版することになった.これが二つ目の研究成果である.そして彼らとは,現在も連絡を取り合っており,現在は,作用素平均に関する不等式の結果を出しつつあり2つの論文として来年度に出版予定である.三つ目の結果として,ルーマニアの国際会議でhypoentropyおよびhypodivergenceに関する成果をルーマニア人研究者2名(F.-C.Mitroi-SymeonidisとE. Symeonidis)の共同研究者として発表した.ちなみに,四つ目の研究成果として,この国際会議では単著で,作用素平均に関する不等式に関する講演を行った.最後に,五つ目の成果としては,日本人研究者2名(藤井・中本)とヘロン平均に関する精密な見積を行い論文を出版することとなった.以上のように,今年度は,経数拡張された作用素エントロピーや様々な平均に関する上界下界の精密な見積(不等式)の導出に成功した.これらの点については満足できる結果であり,来年度もこの続きの研究を行っていく予定である.一方反省点としては,量子相対エントロピーに関する作用素不等式の成果を得るに至ったが,その情報科学への応用には踏み込めなかった点は反省点であり今後の課題である.
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