研究課題/領域番号 |
24540149
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
齊藤 公明 名城大学, 理工学部, 教授 (90195983)
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研究分担者 |
三町 祐子 名城大学, 理工学部, 准教授 (00218629)
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キーワード | 無限次元ラプラス作用素 / 無限次元確率過程 / 無限次元確率解析 / 量子情報解析 / 量子確率過程 / 分枝過程 / 超函数の積 / 無限次元ブラウン運動の積 |
研究概要 |
平成25年度の助成金を受け、主に無限次元確率解析、量子情報論、力学系理論を中心に研究をすすめた。今回の研究において、特にホワイトノイズ高階微分の汎函数解析理論、レヴィラプラシアンの一般化であるexotic Laplaciansの生成する無限次元確率過程の校正において顕著な成果を得た。成果は国際論文誌IDAQP、COSAなどに掲載された。それらの成果を基にして引き続き、高次チェサロ平均の連続積分表現およびこれらのラプラシアンの連続積分表現に成功している。更に、超函数の積が定義できる超函数空間を構成することが出来、その空間内で無限次元ブラウン運動のベキ乗を繰り込み無しで得ることに成功し、これが無限次元確率微分方程式における伊藤の公式の拡張の成果に繋がった。無限次元ブラウン運動は超函数のため、ベキ乗を定義するためには繰り込みがホワイトノイズ解析では不可欠であったが、それを無くすことができ、本無限次元確率超過程の多項式を基盤とした汎函数解析の新展開ができるようになったのは、本研究において画期的な成果である。上記の国際論文誌を中心に投稿するため現在論文をまとめている。また応用面において、分枝過程を中心に確率過程のシミュレーション的な実験研究を続けている。極限分布に関してCOSAに掲載された論文を基に、更に研究を進め、特に、優臨界な移民付き分枝過程の極限分布に関して数式処理の実験を行い、具体的な存在を確かめている。現在理論的な存在証明を研究している。助成金は主にルイジアナ州立大学Kuo教授との共同研究、講演謝金、招聘旅費、イタリアローマ第II大学、韓国忠北国立大学への出張旅費(講演、研究発表)、共同研究、画像処理ソフト、書籍他に使用させていただいた。ローマ第II大学のAccardi教授とは本研究の無限次元確率解析と量子確率論の関連研究において共同論文の作成、共著専門書の執筆を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超函数の積が定義できる超函数空間の構成に成功した。この結果により、無限次元ブラウン運動のベキ乗が空間内で定義でき、無限次元確率解析における伊藤の公式の一般化を得ることが出来た。この成果からいままでの研究の新展開が可能になり、かなりの進歩と言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
新しい超函数論の展開も含み、無限次元確率解析を発展させる。特に、ホワイトノイズ理論において、繰り込みを用いない理論を展開する。また抽象ウィナー空間上の確率解析への応用も考察する。上記の超函数の積、無限次元ブラウン運動のベキ乗の積の成功は、本研究の進展に拍車をかけることは確実である。
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