研究課題/領域番号 |
24540157
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
堀内 利郎 茨城大学, 理学部, 教授 (80157057)
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研究分担者 |
下村 勝孝 茨城大学, 理学部, 教授 (00201559)
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554) [辞退]
中井 英一 茨城大学, 理学部, 教授 (60259900)
安藤 広 茨城大学, 理学部, 講師 (60292471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | CKN 型不等式 / 重み付きソボレフの不等式 / 重み付きハーディの不等式 / 加藤の不等式 / p-ラプラシアン / 強最大値原理 / 対称性の崩れ / ミッシンク・ターム |
研究実績の概要 |
第1の問題: Caffarelli-Kohn-Nirenberg 型不等式 (CKN 型不等式) の精密化と対称性の崩れの研究については以下の成果があった。p=1の場合の解析が進み、p>1の場合と同様に重みパラメータγが増大するとき、対称性がやはり崩れることが証明された。具体的には、p=1の場合はCKN 型不等式が重み付きの等周不等式と同値であることを用いて、重み付き等周不等式の対称性を解析することによりパラメータγが大きいとき図形が球であるときは最良定数が実現しないことが示された。同時に、0<γ<n-1のときには最良定数の対称が崩れないことと、ある正数Mがあり対称性がγ>Mで崩れること、及び、対称性が一旦崩れると回復しないことが示された。またMのかなり定量的な評価が与えられた。p>1の場合のCKN 型変分問題も平行して考察が進んでいる。 第2の問題: 古典不等式における精密な無限個のミッシンク・タームの存在と応用の研究については以下の成果があった。重み付きハーディの不等式は精密な可算無限個の missing term をもつことが前回までの研究で示されているが、対数の無限積を基礎とする super logarithm を用いて記述されることか示された。それを突破口とし、更なる精密化が出来ることか解明された。また、super logarithm 自身の特徴付けや性質の解明がある程度なされ、これらはすべて論文として纏められた。 第3の問題として、今年度から新たにp-ラプラシアンを含む場合のKatoの不等式の精密化の研究が始められた。具体的には、Radon測度を値として取る場合にKatoの不等式の精密化が行われ、その応用としてp-ラプラシアンと非線型項を含む準線形楕円型方程式に関する強最大値原理が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Caffarelli-kohn-Nirenberg 型不等式に関する研究において、p = 1 の場合の研究が予定以上に進展した。 具体的には、重みの指数が大きいときに重み付き等周不等式に対する対称性の崩れが証明され、論文として纏められた。この問題は、「球対称な重み付きルベーグ測度による同体積の図形の中て表面積が最小のものが球とは限らない」ことを主張しており非常に興味深い。さらに、ミッシングタームの存在の研究の副産物としてsuper logarithm 自身の研究も論文として纏められた。また、Radon測度値のpラプラシアンを含むKatoの不等式の研究が開始され、一定の成果を上げつつある。その他の研究も順調である。
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今後の研究の推進方策 |
予定された研究で既に一定の成果が上がっているものも多いが、それらを含めて今後平成25-27年で完成に近づける予定である。分担者・連携研究者・研究協力者は、 以下に述べる役割分担のもとに研究を進めていく。 ・堀内(研究代表者)は,ここで述べたすべての問題の研究と各分担者の研究のまとめをする。 ・中井(分担者)は、問題 2.(古典不等式における精密化)を担当し,退化楕円型変分問題に関連する各種空間上の掛け算作用素や特異積分などを専門の「実解析的手法」、「調和解析的手法」で研究 し、同時に Super logarithm の定式化を試みる。・下村(分担者)は,問題2を担当し,専門の「ポテンシャル論的手法」を用いて楕円型作用素に関 する定性的な研究を行う.・安藤(分担者)は、問題2を担当し、ミッシング・タームの存在問題の最終解決を目指す. ・保城寿彦(連携研究者)は昨年度までと同様に超局所解析の視点からすべての問題を考察する。 ・佐藤得志(連携研究者)は問題1(Caffarelli-Kohn-Nirenberg 型不等式)を半線形楕円型作用素を中心にして担当する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展状況と共同研究者及び研究協力者(含む海外研究協力者)の都合で研究打ち合わせの一部をを次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であり、研究発表のための出張及び昨年度から繰り越された研究打ち合わせの出張の予算として用いる予定である。
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