研究課題/領域番号 |
24540161
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木下 保 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90301077)
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研究分担者 |
梶谷 邦彦 筑波大学, 名誉教授 (00026262)
石渡 聡 山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)
久保 隆徹 筑波大学, 数理物質系, 講師 (90424811)
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キーワード | 関数方程式論 / ウェーブレット / 数値解析 |
研究概要 |
25年度は、主に以下のようなウェーブレットと偏微分方程式に関連した研究成果をあげることができた。 ◎双曲型方程式について:振動する係数を持つ2階の弱双曲型方程式に対して、その初期値問題のwellposednessとill-posednessの両方の結果を示すことに成功た。これまでの係数の振動に関する条件は、強双曲型と弱双曲型を区別することなく、単に係数の導関数の絶対値の大きさによって与えられてきた。この条件のもとで、強双曲型に対してはキレイな結果が得られたが、弱双曲型に対してはいくぶん煩雑な結果しか得られてこなかった。そこで本研究では退化の度合いを上手く組み込んだ新しいタイプの係数の振動に関する条件を提案し、弱双曲型に対してもwellposednessのキレイな結果を得ることができた。また、ill-posednessとなる係数を具体的関数を構成し、さらにその関数に対して連続ウェーブレット変換と短時間(窓)フーリエ変換を施すことで、wellposednessを打ち破るような係数の振動の状態をビジュアル化することにも取り組んだ。 ◎帯域制限ウェーブレットについて:帯域制限ウェーブレットの最も有名な例として、シャノンウェーブレットが非常によく知られている。その帯域制限の幅を拡げる目的で、ローパスフィルタに対する新たな条件を発見することに成功した。これまで知られているどの帯域制限ウェーブレットよりも周波数空間におけるサポートが大きく、そのローパスフィルタのサポートを限界まで延長したウェーブレットを構成した。この新しいウェーブレットによって、シャノンウェーブレットの応用と類似した関数の展開公式が得られるのは非常に有益である。楕円型方程式の数値解析を扱う際は、解析的な関数を用いたウェーブレットが有効であると考えているが、ここで得られた帯域制限ウェーブレットはまさに解析的なクラスに属するウェーブ レットであるので、今後の応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論面について、興味深いウェーブレットの構成に成功し、おおむね順調に進展している。ただ、理想的な状況設定をしているため、 実用的かどうかは検討の余地がある。さらなる理論面の発展にも取り組みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
理論面だけでなく、応用面についても随時、研究を進め、役立てたいと考えている。実用性を踏まえて、いくつかのより実践的な条件 を課せるつもりである。また、数値解析的な立場からの誤差評価等も十分行っていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費を流用して外国人研究者を招聘したが、当初の計画予定の滞在期間より短かったため。 外国人研究者の招聘に用いたいと考えている。
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