研究課題
27年度は、主に以下のように研究を行った。◎全ての点で微分できない病的な関数ともいえる高木関数は、1次のスプライン関数(半直交なリース基底)を用いて表現できるが、ストロンベルグウェーブレット(正規直交基底)を用いても表現することができた(つまり、係数の具体的な値を正確に求めた)。また、高木関数を含むある種のカオス的な力学系から構成される関数に対して、微分可能性に関する詳しい条件を調べたり、積分値などを求めることができた。◎連続ウェーブレット変換というのは、与えられた関数に対して時間空間と周波数空間に分解し、特徴を捕らえるための変換であるとみなせる。そこで、時間空間と周波数空間に対して同時にその減衰度と滑らかさを指定するゲルファンド・シーロフ空間を導入し、連続ウェーブレット変換(および逆連続ウェーブレット変換)の有界性に関する非常に厳密な評価と、またその最適性を示す興味深い具体例の構成に成功した。本研究に役立つことを期待して、ラドン変換の研究にも取り組んだ。現在のところまだ、ラドン変換に関する大きな成果は得られていないが、ラドン変換はウェーブレット解析の研究だけでなく、偏微分方程式論における双曲型方程式の研究とも関連が深い。今後は、ラドン変換とウェーブレット変換を組合わされるリジレット変換の研究、およびラドン変換の理論における偶数個の変数を持つ超双曲型方程式の研究へと発展させていきたいと考えている。
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Intl. J. of Wavelets, Multiresolution and Information Processing
巻: 14 ページ: -
10.1142/S0219691316500077