研究課題/領域番号 |
24540163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
太田 雅人 東京理科大学, 理学部, 准教授 (00291394)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非線形シュレディンガー方程式 / 孤立波 / 安定性 |
研究概要 |
非線形分散波動方程式の孤立波解の安定性と不安定性に関する、現在の標準理論である Grillakis-Shatah-Strauss 理論を再検討し、孤立波解の不安定性に関する新たな理論を構築すること、特に、励起状態の不安定性に関する統一的な理解を得ることを目的として研究を行った。本年度は、孤立波解の安定性と不安定性に関する、これまでの代表的な研究結果について検討を行い、国内のいくつかの研究集会などでサーベイ講演を行った。現時点では公表できる具体的な成果は得られていないが、次年度に取り組むべき問題およびその解決の方向性を明確にした。 また、不安定な孤立波解が不安定化した後、どのような振る舞いをするか、という問題に関して、特に、非線形性がL2の意味で劣臨界であり、すべての解が時間大域的であるような、非線形シュレディンガー方程式系に対して考察した。この場合、有限時間で爆発する解は存在しないため、不安定な孤立波解の近くから出発した解の漸近挙動は興味深い問題であるが、現時点においては、どのような結果が得られるのかを予想することも難しい。そのため、いくつかの数値シミュレーションを行い、期待される結果を予測することを試みた。また、その数値シミュレーションに用いる、非線形シュレディンガー方程式を含む非線形発展方程式の数値解法である、分離法および緩和法による近似解の収束性および誤差評価についても考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、非線形光学やボーズ・アインシュタイン凝縮などの物理モデルとして現れる、様々な非線形相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式及び方程式系の孤立波解の大域構造及び安定性・不安定性について研究することであり、特に、励起状態の不安定性に関する統一的な理解を得ることを目的としている。 そのために、非線形分散波動方程式の孤立波解の安定性と不安定性に関する、現在の標準理論である Grillakis-Shatah-Strauss 理論をはじめとし、これまでの代表的な研究結果について再検討を行い、国内のいくつかの研究集会などでサーベイ講演を行った。今年度は準備期間であり、現時点で公表できる具体的な成果は得られていないが、次年度に取り組むべき問題を明確にし、また、その問題解決の糸口をつかむことができたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に行った、準備的研究により明確となった問題、具体的には、一般化された微分型非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の不安定性の研究に取り組む。この方程式の特徴としては、非線形項に微分を含み、また、孤立波解が本質的に複数のパラメータに依存することがあげられる。そのため、従来の方法を適用することは難しいが、このような場合にも適切なリアプノフ関数を構成し、不安定性を証明することが目標となる。これにより、同様なタイプの方程式への応用が期待できる。 また、軌道不安定性の観点から励起状態の定義を適切に見直すことも目標とする。そのために、平成24年度に引き続き、非線形シュレディンガー方程式系の定常問題の変分的研究を行っている研究グループとさまざまな定常解の変分的特徴づけに関する研究討論を行う。また、東京理科大学理学部数学教室で定期的に開催している神楽坂解析セミナーにおいて、反応拡散方程式系や流体方程式などの研究者を招聘し、本研究課題に直接的または間接的に関連する講演をしてもらい意見交換を行う。また、研究代表者は、京都大学数理解析研究所などで開催される、本研究課題に関連する研究集会に出席し、最新の研究動向を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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