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2013 年度 実施状況報告書

ボーズ・アインシュタイン凝縮の作用素値確率変数を用いたアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 24540168
研究機関金沢大学

研究代表者

田村 博志  金沢大学, 機械工学系, 教授 (80188440)

キーワード関数解析 / 量子統計力学 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / 量子力学系
研究概要

連続系の量子統計力学の数学的モデルに関する研究を発展させるため、ボーズ-アインシュタイン凝縮(BEC)の量子統計力学を考えている。本研究では、平均場理論のような人為的で「弱い」相互作用の場合ではなく、物理系として自然なポテンシャルによる2体相互作用をするボーズ粒子からなる気体の理論の解明を目論んでいる。
当初の研究方針である熱核(Gibbs semigroup)を、ガウス場を独立変数としてもつ作用素値確率変数としてとらえる立場は、フレドホルム行列式の計算が難しくて手詰まりな状況となった。
そこで視点を少し変え、場の量子論的観点を加味し Bogoliubov model の精密化とでもいうべき方向を模索した。Bogoliubov model は、① BEC に大きく寄与しない相互作用を無視し②4次の相互作用を2次の相互作用で大胆に近似して計算可能な形式に導く理論である。これを参考に、①の手法を極端に用いて、単純な量子力学的数理モデルを作り、それを②の方法の精神を尊重しながら数学的に正当化可能な方法で Hamiltonian の固有値を評価するという計画を作成し、目下進行中である。
これとは別に、「研究の目的」や「研究の実施計画」に副次的に挙げた研究テーマである非平衡統計力学の研究として、cavity をモデル化した理論も昨年度に引き続き取り組んでいる。摂動の強さを小さくすると同時に、時間を長くとるスケール変換の下での漸近挙動を与える一種の中心極限定理などの導出(昨年度)に加え、摂動の強さを変えない単純な長時間極限の存在も示した。さらに同様な結果を、Hamiltonian 的に時間発展する系の他に、開放系を記述する Kossakowski-Lindblad-Davies 的時間発展の場合にも拡張した。
この結果に関する論文を現在執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作用素値確率変数を用いた BEC の議論は行き詰ったが、新たに Bogoliubov
理論の観点から新しい研究方向が見出された。
また、 cavity の研究は開放力学系の立場へも進展した。
合わせて、進展状況は可もなし不可もなしといったところだろう。

今後の研究の推進方策

「研究の実施計画」でも述べた場の量子論を用いるアプローチとして、簡単化した Bogoliubov 理論の数学的研究を進展させる。また、当面の論文執筆を含め cavity の研究も進める。

次年度の研究費の使用計画

25年度は外国に出張する事もなく、研究費をかなり効率的に使用し、節約できた。
26年度は、国際数学者会議の行われる年でもあり、積極的に外国での共同研究や研究発表を行う予定である。25年度分の科学研究費基金の余りと26年度分とを合わせ、国内外への出張及び図書の購入、講演謝金などに有効に用いる。内訳は概ね、旅費:116万円、物品費:20万円、謝金:10万円、その他10万円である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] A model of a cavity and a beam of harmonic atoms2013

    • 著者名/発表者名
      田村博志
    • 学会等名
      量子場の数理とその周辺
    • 発表場所
      京都大学 数理解析研究所
    • 年月日
      20131002-20131004
    • 招待講演
  • [学会発表] Calculable Model for a Cavity and an Atomic beam2013

    • 著者名/発表者名
      田村博志
    • 学会等名
      繰り込み群の数理科学での応用
    • 発表場所
      京都大学 数理解析研究所
    • 年月日
      20130911-20130913
    • 招待講演
  • [備考] A Dynamics Driven by R.H.P.

    • URL

      http://arxiv.org/arXiv:1404.2998[math.FA]

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公開日: 2015-05-28  

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