研究課題/領域番号 |
24540174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下村 哲 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50294476)
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研究分担者 |
水田 義弘 広島工業大学, 工学部, 教授 (00093815)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソボレフ関数 / 楕円型偏微分方程式 |
研究概要 |
楕円型偏微分方程式の解について、存在と一意性、正則性などの解析的な性質を研究する方法はいくつかあるが、ペロンの方法に代表されるポテンシャル論的方法はその有力なものの一つである。特にソボレフ空間とそれに付随する容量の概念は、方程式の弱解の正則性を調べ、それが強解であるかどうかを判定するのに欠かせない道具である。本研究では、実解析学だけでなく、偏微分方程式論、多様体上の微分幾何学やグラフ上の解析学、電気流動学や弾性学などへの幅広い応用を念頭に、ソボレフ関数を利用して、楕円型偏微分方程式の解がもつ解析的な性質をポテンシャル論的方法により研究することを目的とする。本年度は次のような研究を行った。 変動指数をもつMusielak-Orlicz空間などの関数空間において、ソボレフの不等式がどのような形で成立するかについて論じた。変動指数をもつMusielak-Orlicz空間において、極大関数の有界性に関する結果を得た。さらに、応用として、変動指数をもつMusielak-Orlicz空間に属する関数のリースポテンシャルに対する重み付きのソボレフの不等式に関する結果を得た。 また、変動指数をもつOrlicz空間に属する関数のリースポテンシャルに対するトレース不等式に関する結果を得た。変動指数をもつMusielak-Orlicz空間に属する関数のリースポテンシャルに対するGagliardo-Nirenberg不等式についても成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変動指数をもつMusielak-Orlicz空間などの関数空間において、極大関数の有界性に関する結果や、その応用として、変動指数をもつMusielak-Orlicz空間に属する関数のリースポテンシャルに対する重み付きのソボレフの不等式及びGagliardo-Nirenberg不等式に関する結果を得るなど、変動指数をもつ関数空間上におけるソボレフ型定理を発展させることができた。このように、本年度予定していた成果を得ることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、ある程度成果を得ることができ、研究は順調に進展している。今後は、平成24年度の研究をさらに発展させるために、平成24年度に得た結果の証明のアイディアをもとに、変動指数をもつMusielak-Orlicz-Morrey空間に関するソボレフ型定理の進展や距離空間上の変動指数をもつOrlicz空間などの研究に取り組み、変動指数をもつ関数空間上におけるソボレフ型定理を発展させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、他の予定になかった仕事との日程の都合などにより、参加を予定していた研究課題に関連した研究集会のなかに、参加できなかった研究集会があった。そのような理由により、少し繰り越すことになった。 本年度は、その繰り越し額と本年度予定されていた額を合わせて、研究課題に関連した研究集会等に参加したりして、本研究の遂行に必要な情報の収集に努める予定である。
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