楕円型偏微分方程式の解について、存在と一意性、正則性などの解析的な性質を研究する方法はいくつかあるが、ペロンの方法に代表されるポテンシャル論的方法はその有力なものの一つである。特にソボレフ空間とそれに付随する容量の概念は、方程式の弱解の正則性を調べ、それが強解であるかどうかを判定するのに欠かせない道具である。本研究では、実解析学だけでなく、偏微分方程式論、多様体上の微分幾何学やグラフ上の解析学、電気流動学や弾性学などへの幅広い応用を念頭に、ソボレフ関数を利用して、楕円型偏微分方程式の解がもつ解析的な性質をポテンシャル論的方法により研究することを目的とする。本年度は次のような研究を行った。 変動指数をもつMusielak-Orlicz空間において、Trudingerの指数積分不等式やHardyの不等式がどのような形で成立するかについて成果を得た。さらに、変動指数をもつgrand Morrey空間において、リースポテンシャルに対するソボレフ型定理に関する成果を得た。 距離空間上でのソボレフ型定理の発展を目指し、変動指数をもつMusielak-Orlicz空間やMusielak-Orlicz-Morrey空間などにおいて、リースポテンシャルに対するソボレフの不等式、Trudingerの指数積分不等式、連続性に関する成果も得た。 また、p=1の場合のMorrey空間に属するリースポテンシャルに対するソボレフの定理についても成果を得た。
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