研究概要 |
この研究の目的は、(1)漸近展開の理論を伊藤型の確率微分方程式(SDE)の場合に拡張すること (2)ソボレフ空間上の漸近展開の種々の例を構成すること (3)漸近展開の数理ファイナンスおよび神経細胞モデルへの応用を得ること である。 目的(1)については、ファイナンス理論に関連したSDEの解の漸近展開を得て論文による次の結果を得た:M. Hayashi and Y. Ishikawa, Composition with distributions of Wiener-Poisson variables and its asymptotic expansion, Mathematische Nachrichten 285 (2012), 619--658. 目的(2)については次年度の課題とした。目的(3)については、連携研究者である山野辺博士と打ち合わせを2回行い、神経回路の数学モデルを作成し、確率解析を使ってそれを解析した。論文による次の結果を得た:Yasushi Ishikawa, Nerve cell model and asymptotic expansion, 統計数理研究所共同研究リポート 300, 33--43 (2013). また、国際学会:6th International conference on stochastic analysis and its applications, 2012/09, において講演「Optimal consumption problem associated with jump-diffusion processes」を行い、研究集会:無限分解可能過程に関連する諸問題(17), 2012/11, において講演「Nerve cell model and asymptotic expansion」を行った。
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