研究課題/領域番号 |
24540179
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
梶木屋 龍治 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10183261)
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キーワード | 最小エネルギー解 / 楕円型偏微分方程式 / 準線形放物型偏微分方程式 / 分岐 / p-Laplace 方程式 |
研究概要 |
1次元Emden-Fowler 方程式の係数関数が偶関数であり, 符号変化する場合に最小 エネルギー解が偶関数でないことを証明した. 穴の空いた薄い対称領域において Emden-Fowler方程式を考察し, その最小エネルギ ー解の群不変性についての研究を行った. ここでは, 直交群の2つの部分群 H, Gを考える. ただし, HはGの新部分群とする. このとき, 適切なH,Gの仮定の下に, H不変最小エネルギー解はG不変性を持たないことを証明した. あるタイプの準線形放物型方程式を有界領域でディリクレ境界条件の下に考える. このとき, すべての解は有限時刻で消滅する. そのときの解の消滅の形を調べた. 変数変換により別の発展方程式に書き直して, そのときの定常解の安定性を詳細に調べた. 境界に特異性を持つ係数関数を持つ1次元pラプラス方程式を考察した. このとき解の大域的な分岐を詳細に調べた. 臨界指数を持つ係数関数を含んだ 1次元p ラプラス方程式の解の分岐について研究した.このとき, ある1つの分岐点から加算無限個の解の枝が分岐していることを証明した.このような研究は, 他にはほとんど行われていないように思われる. 劣線形のEmden-Fowler方程式の解のソボレフ・ノルムに関する評価を行った. 領域の体積が小さくなっていくときに, 対応する解のノルムがどのように小さくなるかを詳しく調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2013年度は査読付き論文8本が専門誌に掲載された. 日本数学会, 国内の研究集会, 国際学会などで合計11回の講演発表を行っている. 研究実績の概要でも述べたように, 1次元Emden-Fowler 方程式の最小エネルギー解の非対称性, 群不変性, 準線形放物型方程式の定常解の安定性, pラプラス方程式の解の分岐, 劣線形 Emden-Fowler方程式の解のソボレフ・ノルムに関する評価等の様々な研究を行った. 当初の計画以上の多くの研究結果を得た. そのため研究成果は, 非常に大きいと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
p-qラプラス方程式の解の分岐について, 他大学の研究者と研究連絡を取りながら, 新しい研究を進めていく予定である. さらに今まで主に正値定常解の研究を行ってきたが, Emden-Fowler 方程式の符号変化解の研究を行う予定である. 特に符号変化する群不変解の研究を推進していく. このような問題を解決するには多くの数学的理論が必要となる. 変分法, 最大値原理と比較定理, 関数解析, 楕円型偏微分方程式論等である. これらの書籍, 専門書, 電子ファイル, 論文などを多く集め, ゆっくり精読し理解する. さらに国内外の研究者と連絡を取り合って, 本研究に関連した詳しい情報を入力する. これらのデータをパソコンの中にデジタルデータとして保存し, 常時参照できるようにする. また数値解析ソフト, 数式処理ソフトの助けを借りて, 解の挙動を数値シュミレートする.
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次年度の研究費の使用計画 |
大学内の運営交付金の予算が今年度は増えたために, 国内の研究集会の旅費にそれを使用することができた. そのため, 科研費を旅費として使う額が減ったため. スペインでの国際研究集会が7月に開かれる. これに出席して研究成果を発表し, 同時に研究うち合わせを行い, また最新の研究情報を得る予定である. 夏の航空運賃は非常に高いのでこの出張旅費に使用する予定である.
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