研究実績の1つは、変動指数をもつ関数空間における種々の作用素の有界性に関する結果である。中井英一氏(茨城大学)、澤野嘉宏氏(首都大学東京)との共同研究で、log-ヘルダー条件が仮定された変動指数をもつ変動指数Lebesgue空間におけるHardy-Littlewoodの極大作用素の有界性の別証明、有界性の十分条件としてのlog-ヘルダー条件の緩和、変動指数とMuckenhouotのApウェイトとの関連の考察などといった課題に取り組んだ。さらに、変動指数型Muckenhoupt条件を満たすウェイトをもつ重み付き変動指数Lebesgue空間において、特異積分作用素の有界性を証明し、適当な滑らかさと減少度をもつウェーブレットによる特徴付けへ応用した。さらに、この空間において、ウェーブレットに関するノルム評価式とモジュラー不等式の差異を明らかにした。 2つ目の研究実績は、変動指数をもつ関数空間の双対性に関する結果である。これまで、申請者は3つの指数のうち積分指数が変動するHerz空間を定義し、その空間における種々の作用素の有界性やウェーブレットによる特徴付けに取り組んできた。野井貴弘氏(首都大学東京)との共同研究で、全ての指数が変動する新たな変動指数Herz空間を定義し、各指数に関する適当な条件のもとでその空間の双対空間を求めた。さらに、このアイデアを全ての指数が変動するBesov空間およびTriebel-Lizorkin空間にも適用し、同様にこれらの双対空間についても求めた。 3つ目の研究実績は、BMOノルムの変動指数による特徴付けである。澤野嘉宏氏、筒井容平氏(信州大学)との共同研究で、変動指数Lebesgue空間のノルムを用いたBMOノルムの一般化のための十分条件の緩和に取り組み、極大作用素の弱有界性のもとで一般化が実現できる事を示した。
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